月刊農学部長

月刊農学部長 第47号(2022年6月)

 

5月 長引くWithコロナと山口大学の自慢

今やオミクロン株の第6波なのか、さらに変異の入った亜種の第7波なのかも定かでなくなりましたが、感染者数の高止まりが続いています。今年度に入ってからの山口大学生の感染者数は、約2か月で50人超に上り近所で時々発生する出来事になっています。同時に、特に若者の多い大学では、ほとんど重症化しないととらえられている雰囲気です。講義はもちろん、実験実習も基本的には対面形式で行われていますので、正課教育に関してはコロナ以前の大学に戻ったと言ってもよいでしょう。また、教員の海外出張や学生の留学も徐々に許可されるようになってきました。残るは、課外活動や飲食を伴う集会等の規制です。

 

さて、シリーズの2回目ですが、一番オーソドックスな山口大学の自慢です。

山口大学の自慢(その2)~長い歴史がある~

山口大学が2015年に創基200周年行事を行ったことを覚えている教職員は多いと思います。1815年に長州藩士の上田茂右衛門(鳳陽)先生が藩に嘆願して、山口市中河原(市役所付近)に文学所・山口講堂を開設した時点を起源としています。創基という表現が少々あいまいですが、これを山口大学発祥とするならば、東京大学、東北大学に次いで日本で3番目に古い大学となります。「本当?」と思う人がいるかもしれませんが、当時多方面で先進していた長州藩のバックアップがあったことを考えると、決して不思議な歴史ではありません。ただ、この山口講堂に農学部の起源があったわけではありません。1980年に編纂された「山口大学30年史」を読んでみると、農学部の起源は、1883年(明治16年)に中河原のすぐ近所(現在の山口市中央2丁目)に創設された山口県栽培試験場農事講習会であると記載されています。この講習会は2年後(明治18年)に獣医科を伴う山口農学校の創立に繋がっていきます。
その後、現在の山口市小郡町に設立された山口県立農業学校・山口獣医畜産専門学校等を経て、1949年(昭和24年)には新制国立大学の1学部としてスタートすることになります。この時の大学設置委員会審査の正式書類には、経済、文理、教育、工学、農学の5学部が認められ、その設置条件には、「農林学部を農学部とし、学科を農学科と獣医学科の2科とする」という文章があります。当初、農林学部を申請したけれど、林学科は認可されなかった歴史があるようです。経済、文理、教育は山口市役所付近にありましたが、工学部は宇部市に、そして農学部は下関市長府での開校となりました。それから、約20年が経過した1970年前後に、文理学部から派生した人文学部と理学部、教育学部、経済学部そして農学部(農芸化学科を新設した3学科)が吉田キャンパスに総合移転し、現在の山口大学の基本形が完成します。以上のような歴史を顧みると、農学部は、山口市中央町→小郡町→下関市長府→山口市吉田と移転していることになります。
先日ジョギング中に、山口市民会館の裏駐車場で「山口県農学校発祥之地」という石碑を発見しました。上記史実通り、明治18年の日付が刻印されていました。市役所の隣ですから、何かの機会に訪ねてみてください。と言うことで、やっぱり「歴史がある」というのは一つの自慢です。

 

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月刊農学部長 第46号(2022年5月)

 

4月 Withコロナと山口大学の自慢

3回目のwithコロナの新学期がスタートしました。さすがに教職員も学生も慣れたもので、共通教育では最初の1週間は遠隔講義がメインとなったにもかかわらず、大きな混乱もなく授業がスタートしました。その後は通常の授業が展開され、すでに半月が過ぎようとしています。4月23日(土)と24日(日)には、新入生歓迎フェスティバルが開催されました。芝桜が見ごろになっている1番教室の横の広場では、サークル紹介のステージ企画が行われました(写真上)。また、各サークルのブースも共通教育棟と教育学部の間のスペースにオープンし、新入部員を熱心に勧誘していました(写真下)。まだまだ人数制限等はありますが、学生さんの笑顔溢れるキャンパスが少しずつ戻ってきている感じがします。もう少しの辛抱と信じて、皆さん頑張りましょう。

 

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さて、先週予告した新シリーズの第1回目です。


山口大学の自慢(その1)~字画が日本一少ない~


30年以上前に山口大学に赴任した時に最初に感じたのは、「字画が少なくて楽でいいなー」ということでした。当時は、書類はすべて手書きでしたので、字が下手な私は、字画が多い漢字を面倒だと感じていました。その点、山口は6画しかなく、当時調べてみたところ、私立大学を含む日本の全大学で最少でした。他に一桁画数は大分大学(7画)と日本大学(9画)の2校だったと記憶しています。つまり、山口大学は圧倒的に字画が少ない大学なのです。「それがどうした」と言われそうですが、実は結構メリットがありました。
今から25年以上前に広島県で開催されていた全国規模の駅伝に、山口大学陸上競技部の学生を連れて参加していました。その時、沿道の子供やお年寄りの「山口大学」に対する応援がやたらと多いことに気付ました。いっしょに走っていた、地元の「広島〇〇大学」や関東の強豪校「日本〇〇大学」よりも声援が多いのです。考えてみると、山・口・大・学の4文字はすべて小学校1年生で習う漢字です。さらに、走者のユニフォームが揺れて胸の文字が読みにくいのですが、山口大学はシンプルで遠くからでも一目瞭然、お年寄りにも読みやすいという長所を感じました。最近の大学名や学部名称はカタカナが入ったり、やたら長かったりしますが、スッキリとした大学名、学部名は山大のいいところだと思います。些細な事ですが、実利のあるりっぱな日本一だと思っています。

 


 

月刊農学部長 第45号(2022年4月)

 

3月 桜のキャンパスと新シリーズ(告知&公募)

3月23日(水)に桜が1分咲き程度の維新記念公園にて、今年も時間分割方式の無観客卒業式・修了式が行われました。93名の農学部卒業生と35名の創成科学研究科(農学系)修了生の皆さんが巣立っていきました。大学の卒業式は人生の一大転換点であることは間違いありませんが、中学や高校の卒業式ほど感傷的な式典ではありません。それは、主役の学生が十分大人であることに加え、自立すべき新たな生活の準備に追われ感傷に浸っている暇がないことも一因でしょう。皆さん、慌ただしい生活の中でも心と体のケアーを忘れずに、視線を上げて力強く一歩目を踏み出してください。
そして、間髪入れずに「Welcome 新入生」の週間を迎えます。この時期、キャンパスは桜で溢れていますが、本部横の公園(手前)と大学会館横(右奥)の特にきれいな桜群を掲載します。毎年のように月刊農学部長でも紹介していますが、今年はちょっとがんばって上空からの景色です。撮影方法は秘密です。新入生の皆さんが桜のように優しく明るいカラーの大学生活が送れるように、教職員全員が一生懸命サポートします。

 

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この写真に写っているメタセコイアの上部に、ちょっと見にくいですが、鳥の巣が確認できます。カラスの巣だと思われますが、ここ数年は宿主が現れません。実はキャンパス内には5か所ほどこのような巣があって、そのうち2か所では3月になって親鳥が巣繕いをしているのを確認しました。順調に行けば初夏ぐらいまで子育てをしている様子が観察できるはずです。校内を散歩しながら、鳥の巣を探してみるのもなかなか楽しいものです。


さて、コロナ禍で出張等も制限されている状況下で、これから24回も「月刊農学部長」を書かなくてはなりません。昨年は「登山シリーズ」を企画して何とか1年持たせましたが、今年も何か企画しないとネタが足りません。そこで、「山口大学の自慢」と題して、30年以上の山大教員生活の中で感じた、山口あるいは山大のアピールポイントをまとめたいと思います。何回できるかわかりませんが、「山口・山大の良いところ」を皆さんに認識してもらえたら幸いです。次回(4月号)からスタートする予定ですが、取り上げてもらいたい話題がありましたら是非お知らせ下さい。

 


 

月刊農学部長 第44号(2022年3月)

 

2月 恵方巻とキャンパスの冬の彩り

2月上旬、農学部の学生たちは卒論・修論の仕上げに忙しく、学部内はコロナ禍とは無関係にとても静かです。昨年も書きましたが、文章にまとめるという作業は最も頭を使う作業であり、その能力は社会人になって間違いなく役に立ちます。先生に修正されて終了ではなく、その過程をよく振り返って、論理的な思考の表現スキルを高めてください。そんな中、節分の日(2月3日)には、ここ15年ぐらいの研究室の恒例行事で「恵方巻」をみんなで食べました。今年は、男子学生ばかり10名(院生4名、学部生6名)の研究室で、一言もしゃべらずに北北西の方角にある冷蔵庫を見つめて一気に食べました。写真のようになかなかシュールな風景でした。1本860円もしてびっくりしたのですが、美味しいうえに、「今年1年病気をしないように」と健康意識を高められるのなら安いものかもしれません。

 

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サイレントなキャンパスにあって、この時期に貴重な彩りを放っているのが、サザンカのピンクの花(写真奥)とクロガネモチの真っ赤な実(写真手前)です。この場所は以前紹介したキンモクセイ(月刊農学部長第28号)のすぐ隣です。クロガネモチとは興味をそそるネーミングですが、葉が乾くと鉄色になることから名付けられたと解説されていました。同時に「苦労がなく金持ち」に通じる縁起木と紹介されています。苦労せずにお金が入るのは幸運なことではありますが、必ずしも幸福なことではないと信じているのは、宝くじに縁がない私の負け惜しみでしょうか。

 

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COVID-19の第6波に関する大学内の状況は、HP上で公開されているように、年明けからすでに50人を超す感染者が報告されています。幸い、農学部内での感染報告はほぼ無く、いつも通りの2月を過ごすことができました。大学前期入試は2月25日に無事終了しましたが、後期入試(3/12)や卒業式(3/23)も控えていますので、もうしばらく気を引き締めて感染予防に努めましょう。

 

 


月刊農学部長 第43号(2022年2月)

 

1月 コロナ第6波と対面試験

昨年末の月刊農学部長に「コロナとの戦いは今後も予断を許しませんが、とりあえず危機的な状況は凌いだと信じて、、、」と書きましたが、その直後に岩国米軍基地発・オミクロン株によると推察される第6波が来てしまいました。これまで、新幹線沿いの都道府県では珍しく「緊急事態宣言」も「蔓延防止法」も発令されていなかった山口県でしたが、ついに県東部に対して蔓延防止法が発令されました。その事態を受けて、1月11日に行われた全学の教育研究評議会において、講義を対面から遠隔に速やかに移行することが決定されました。遠隔講義そのものには抵抗がなくなっていますが、この時期は期末試験、大学入学試験と対面が不可欠な重要行事が続きます。第5波の後に、もうCOVID-19の話題には触れないと書きましたが、今しばらく、大学の状況を皆さんにお知らせしなければならないようです。
1月末現在では、日本全体では8万人前後、山口県では400人前後の感染者が報告されており、ピークアウトの気配がまだ見えない状況です。幸い、大学内での感染拡大は比較的抑えられており、何とか定期試験等も対面で実施できています。写真は、高坂先生の授業(情報生化学:主に生物機能科学2年生)の試験風景です。この学生たちは2020年4月の入学ですから、入学と同時に数か月間遠隔授業になり、その後は対面と遠隔をミックスした形で受講してきました。昨年秋にとった彼らのアンケート結果を見ると(写真中円グラフ)、対面授業の方がいいと答えたのは76%にのぼり、「先生の熱量が伝わって、ポイントが分かりやすい」「わからない点を友達にすぐ相談できる」などの意見が書かれていました。一方、遠隔の方がよい(17%)、判断できない(7%)と答えた学生からは、「好きな時間に何度でも視聴できるオンデマンド方式で理解が深まる」などの声も聞かれました。農学部としては、基本的には全面的に対面授業に戻したいと思っていますが、遠隔講義のメリットはコロナ禍が過ぎても生かしたいところです。

 

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2月になると、卒業論文、修士論文、博士論文の発表審査会、そして月末には大学入試の前期個別試験が実施されます。弱毒化したオミクロン株が「自然ワクチン」になって、パンデミックが収束するという楽観論に期待したくなりますが、ワクチン接種者でも感染が頻発している現状を冷静に鑑みると、そう簡単な結末ではなさそうです。

 

 


月刊農学部長 第42号(2022年1月)

 

12月 農場祭とクリスマス市

12月9日の昼休みに、農場祭が行われました。今年もコロナ感染防止のため、飲食のない物販のみとなりましたが、たくさんの方々に来場していただきました。約20種類の野菜と果物が売られていましたが、私も生物資源環境科学科の学生さんが農場実習で作ったミニトマト(380g)とカブ(750g)をそれぞれ150円で購入しました(写真)。日常的に買い物をする人なら、このコストパフォーマンスの良さが理解できると思います。この場を借りて、農場の維持管理及び農学部の研究・教育にご協力いただいている技術専門職員(農学グループ)の皆様に感謝申し上げます。今年は、先月号に記載したようにお米とお芋の生産にちょっとだけ協力させていただきました。来年は、もっとたくさんの農産物生産に関わり、勉強したいと思っています。

 

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ところで皆さんは、「12月、山口市はクリスマス市になる」こんなPRをご存じでしょうか。保守的な山口にしては攻めたキャッチコピーだなと思いますが、実は山口市はクリスマス発祥の地とされています。山口市の広報誌には「1552年の12月に、フランシスコザビエルの後継者・宣教師コスメ・デ・トーレスらが山口でクリスマスを祝ったのが日本での始まり」という内容が記述されています。当時の大内義隆(31代)はトーレスに対してキリスト教の布教と拠点建設を許可したことが記録に残っています。この拠点が日本で最初の常設教会とみなす説もあり(諸説あり)、「クリスマス発祥の地」を標榜する資格はあるように思います。毎年12月になると県庁から市役所までのパークロードが所々ライトアップされますが、特に旧サビエル記念聖堂を模したLEDの電飾はとてもきれいです(写真)。パークロードそのものもかなりお金をかけて整備した道路で、昭和61年には日本道路百選にも選ばれた山口市内の名所の一つです。その街路樹を背景に、写真のような白と青を基調とした幻想的な空間が広がっています。山大からは自転車で20分ぐらいかかりますが、一見の価値があると思います。まだ見たことがない人は、是非来年は見に行ってください。

 

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さて、今年も一年が終わろうとしています。いろいろとありましたが、何とか学部長の仕事をこなすことができました。教職員・学生の皆さま、ご協力ありがとうございました。コロナとの戦いは今後も予断を許しませんが、とりあえず危機的な状況は凌いだと信じて、ちょっとだけ気を緩めて鋭気を養いたいと思います。
みなさん良いお年をお迎えください。そして、また元気よくリスタートしましょう。
 


 

月刊農学部長 第41号(2021年12月)

 

11月 附属農場のお芋とお米

今年も実りの秋に、たくさんの農作物が附属農場でも収穫されました。写真は10月に菅内(すげうち)農場で取れたさつま芋とお米です。私も週末を使って、数名の有志(山大教職員および学生さん)といっしょに、苗植えから収穫の段階まで作業をさせてもらいました。品種はさつま芋が「べにはるか」お米が「恋の予感」で、それぞれ10aと5aに作付けし、最終的におよそ1.8tのお芋と250kgの玄米が収穫されたそうです。

収穫されたお芋の2/3ぐらいは周南市の山縣酒造で焼酎「要助」の仕込みに使われ、残りは青果で販売されたり、干し芋に加工されたりするそうです。私も学内の生協施設(FAVO)で「要助」を購入してみましたが、どちらかと言うと“飲みやすいスッキリとした味わい”と感じました。ところが、指導していただいた荒木農場長の解説では、焼酎は普通醸造用の大型のイモ品種(コガネセンガン)を使用するが、「要助」は紅芋を使うので香や味がちょっと濃厚だということでした。私は鹿児島出身で、焼酎をつくっている親戚もいる中で育ったのですが、あまりお酒の味がわかりません。日本酒の辛口と甘口の違いも怪しいレベルで、焼酎はさらに味を表現する言葉を持ち合わせません。是非20歳以上のみなさん、“スッキリとした味わい”なのか“濃厚な香りと味”なのか、それとも違う表現がフィットするのか、試飲して感想を教えてください。720mlが1480円ですので安くはありませんが、それだけの価値がある一品だと思います。

一方、お米については教育学部付属の特別支援学校の生徒さんたちといっしょに作ったので、山大基金の返礼品に活用していく予定だそうです。荒木先生から、「いただいた寄付の一部は、附属学校などの実習資金などに充てられる仕組みにして、寄付していただいた方に末永くこのお米を楽しんでいただけるようにしたいと考えています。」という学長先生が聞いたら泣いて喜ぶような素晴らしいコメントをいただきました。

荒木先生とその研究室の学生さん、ご指導ありがとうございました。来年も楽しみにしています。

 

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月刊農学部長 第40号(2021年11月)

 

10月 普通の大学生活を取り戻しましょう!

2020年の3月から様々な活動およびイベントが自粛モードになりましたが、やっと規制が緩和されてきました。10月初旬、私が副会長を引き受けている中国四国学生陸上競技連盟の試合が広島で開催され、山口大学の学生さんも2年ぶりに参加が叶いました(写真)。我々教員は、たとえ自粛期間でも授業ができればかなり安堵感がありますが、学生さんはそうはいきません。有意義な大学生活を送るための要素は授業以外にもたくさんあります。若いエネルギーをぶつける機会がことごとく奪われてしまって、この1年半は本当に我慢の時だったと思います。これからもCOVID-19の再流行に対して細心の注意が必要なことは言うまでもありませんが、みんなで協力して普通の大学生活を取り戻しましょう。授業や研究活動はもちろんのこと、サークル活動や旅行等、学生時代ならではの楽しいイベントを積極的に盛り上げてください。

 

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※個人情報が含まれますので、画質を落としています。生物資源環境科学科の4年生も出場しました。

 

そんな訳でCOVID-19は過去のものにしてしまいたい気分ですが、今一度振り返って、コロナ禍で「よかったことベスト3」を挙げてみたいと思います。


1)就職活動がオンラインになったことで経済的な負担が軽くなり、多くの企業に挑戦できた。「準備していた30万ぐらいの就職活動用資金がほとんど要らなかった」という院生の話も聞きました。このまま定着してくれれば、地方国立大学の学生には大変ありがたいシステムです。そのためには、昨年・今年に就活を乗り越えた学生さんたちがこれまでと変わらないクオリティーを示し、「オンライン面接でも十分いい学生が採用できるじゃないか」と就職先に感じてもらうことが肝要です。卒業生の皆さん、是非後輩たちのために頑張ってください。


2)宇部(工学部・医学部)との距離が縮まった。教員の会議でも学生間の会合でもオンライン形式に抵抗がなくなって、気軽にリモートコミュニケーションができるようになりました。以前からPCのスカイプやスマホのSNSなどコミュニケーションの手段はあったはずなのですが、何となく大人数の会議は対面でという雰囲気がありました。ZOOMやWEBEXの利用により、意外と遠隔のプレゼンや議論にデメリットがないということに気づきました。これから、大学内外において、移動に伴う時間とお金の節約が加速すると思われます。


3)マスクと手洗いで風邪の流行をかなり防止できる。以前から風邪の対策にマスク着用と手洗いが有効であることは知っていましたが、今回、皆が心がければほとんど流行らないということが実証されました。今後、玄関に設置された体温計で体調管理の習慣を持続し、マスクと手洗いは当たり前の感覚になれば、インフルエンザの大流行は無くなるのかもしれません。


以上の3点の他にも意外とよかった事があるように思います。コロナで経験したことを単なる禍(わざわい)としてとらえるのではなく、今後の生活や仕事に役立てたいものです。

 


 

月刊農学部長 第39号(2021年10月)

 

9月 後期の授業と身近な登山のまとめ

秋分の日も過ぎて、すっかり秋らしくなった今日この頃です。各県のコロナ感染者数もやっと第5波以前の値に近づいてきて、このまま収束してくれるのではないかと期待してしまいます。1か月前は、後期は遠隔講義しかできないのではないかと話していましたが、この調子だとほとんどの授業は対面形式でできそうです。学生さんおよび教職員の皆さんの「自粛」に感謝します。ただし、最初の1週間(10/1~10/7)は、様子見のために遠隔授業中心の予定です。完全撲滅を目指して、今一度気を引き締めて感染防止に努めましょう。基本はマスクと手洗いです。
さてこの半年間、「歩いて行ける10名山」と題して山口盆地にある山を紹介しました。この他、車があれば是非トライしてもらいたい素晴らしい山々がたくさんあります。例えば、平成の大合併が行われる前、つまり旧山口市内では一番高い山だった高羽が岳(760m)は、ロープ伝いに登る場所が10か所近くあり本格的な登山が体験できます。一方、現在山口市で一番高い十種ヶ峰(989m)の頂上からは、全方向すべて見晴らしがよく、空気が澄み切った紅葉の季節の登山に最適です。また、山口市と周南市の間にある飯ヶ岳(937m)は、ブナ林と滑松(樹齢200年以上の赤松)がとても印象的な山です。さらに、防府市にある右田が岳(426m)は、ロッククライミング的なスリルも味わえるコース沿いに33体の磨崖仏等もあり、景色以外にも多くの見どころがあります。最後に、ホルンヘルスに隣接する萩市須佐の高山(533m)からは、日本海のリアス式海岸が広角に見渡せます。車でも行ける頂上には望遠鏡が設置されており、1997年にヘールボップ彗星を観察した時は感激しました。
本シリーズ(月刊農学部長第33号~第38号)で紹介した山をイラスト風にまとめておきました。週末にちょっと疲れるぐらい運動したい人、ぜひ順番に挑戦してみてください。なお、下記6)~10)と今回紹介した番外編の山々は道に迷う可能性がありますので、複数人で行くことをお勧めします。

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月刊農学部長 第38号(2021年9月)

 

8月 オリンピックと身近な登山(その6)

7月から8月にかけて東京オリンピックが行われ、無観客ながら大変盛り上がりました。私のオリンピックに関する最初の記憶は、1968年のメキシコオリンピックです。特に、走り幅跳びの驚異的な世界記録と10000m競走におけるアフリカ勢の強烈なラストスパート合戦が印象に残りました。高地(2300m)での大会だからこうなるみたいな解説に、山の上なら足が速くなるの?と不思議に感じたのを覚えています。その後生理学を学んで、高地では空気抵抗が低いこと、酸素分圧が低いことなどの影響が大きいことを理解しました。1980年のモスクワオリンピックは、アフガニスタンへのソ連軍侵攻を理由に、日本はアメリカに同調してボイコットすることになりました。今また、アフガニスタンの政情が大きく揺れています。科学は次々と問題を解決し社会は着実に前進しているように感じますが、民族・宗教が絡む問題はなかなか着地点すら見い出せません。

 

身近な登山シリーズの6回目です。やっと最後の山にたどりつきました。

9&10)東鳳翩山&西鳳翩山:山口市の登山可能な山として最も知れ渡っているのが東鳳翩山(734m)でしょう。登山道は吉敷地区の凌雲寺跡をスタートする西ルートと一の坂川上流の錦鶏湖をスタートする東ルートがあります。さらに、西ルートは地蔵峠経由と鉱山跡経由に、東ルートは二ツ堂経由と錦鶏の滝(雄滝)経由の2つにそれぞれ分かれます。地蔵峠経由と二ツ堂経由は登山道が整備されていて、とても登りやすいルートです。ただし、結構な標高差があり、市街地から登り始めると2時間以上はかかる登山になりますので、チョコレートと水ぐらいは持参した方が安心です。西ルートの鉱山跡経由と東ルートの錦鶏の滝経由コースはかなりの悪路ですので、しっかり準備して臨んでください。軽めの登山がしたい人は地蔵峠まで車で行く方法もあります。頂上標識の写真は、小林前部長の記事(No25号:2020年2月)に紹介されていますので、ここではその標識の位置から南向きに撮った写真を載せます。眼下には山口市が広がり、山口大学④はもちろん、この登山シリーズで紹介した象頭山①、鴻ノ峰②、姫山③、高倉山⑥もハッキリと確認できます。汗だくになって登った山々が、砂場で作った小山のように点在している風景がとても印象的です。遠方に視界を広げると、南南西に真っ白なきららドーム⑧が見え、周防灘の向こうに国東半島の山々⑤、そしてかすかに久住連山⑦を見ることができました。さらに、180度方向を変えて北方に目を凝らすと、萩沖に浮かぶ大島も確認できました。山口市内から瀬戸内海と日本海の両方見える場所はここだけかもしれません。
一方、東鳳翩山よりもわずかに高い西鳳翩山(742m)は、TV局のアンテナ基地があるために舗装道路が山頂まで整備されています。登山は厳しいけど写真のような景色が見たい人はこちらがお勧めです。東鳳翩山と西鳳翩山は地蔵峠経由で縦走することもできます(所要時間90分程度)。

 

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月刊農学部長 第37号(2021年8月)

 

7月 野イチゴと身近な登山(その5)

春から夏にかけては野イチゴが結構おいしく食べられます。写真はこの辺でよく見つかるヘビイチゴ(写真左)と草イチゴ(写真右)です。ヘビイチゴに関しては、有毒だから食べてはいけないと脅されていましたが、実は無毒で食べられます。でも全く味がしないので、あまりお勧めできません。一方、草イチゴは酸味がないのですが糖度はかなり高く、まるでお菓子のような味わいです。見分け方は、表面の粒々の形と色です。ヘビイチゴはピンクがかった赤色で、表面の粒が突起状に見えます。まさにコロナウィルスの感じです。一方、草イチゴはオレンジがかった赤色で、ビーズのような粒がびっしり詰まっています。いつの日か、山でヘビイチゴを見つけた時に、「これによく似たウィルスが猛威をふるって大変だったなー」と思い出す日が来るかもしれません。私が月刊農学部長を書き始めてから、ずっと話題の中心は「新型コロナウィルス」です。もうそろそろ脱却しよう思って書き出したのですが、結局今回もコロナ関連記事(?)になってしまいました。

 

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8)蕎麦が岳(仁保地区):防府市との境にある標高556mの山です。仁保の道の駅(井開田交差点)から車で10分ほど走った仁保一貫野地区からのアプローチが一番楽ですが、本格的に登山を楽しみたい人には仁保の小高野地区(秋川牧園工場付近)からの登山をお勧めします。途中には「仁保の重石(じゅういし)」という巨岩の珍風景も見ることができます。その岩の頂上から目の前に広がる川のような滑滝(勾配は45度ぐらい)がなかなかの迫力です(下の写真)。写真の下端に見えているのが重石の頂上の縁になりますが、石の高さは30mぐらいあり、これ以上のぞき込むのは無理でした。幼いころから高い所に登るのが好きだった私でも脚がすくみましたので、高所恐怖症の人は絶対に登らないでください。登山道は最後までよく整備されており、蕎麦が岳の頂上からの眺めはどの方角も素晴らしいものです。蕎麦の実に似ていることが名前の由来だそうですが、遠くから見ても、登ってみても頂上は平で、三角錐のような蕎麦の実とどこが似ているのでしょう。

 

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月刊農学部長 第36号(2021年7月)

 

6月 ワクチン接種と身近な登山(その4)

ついにワクチン接種が山口大学でも始まります。吉田キャンパスでは7月末から1回目、8月末に2回目の接種が行われ、ほとんどの学生及び教職員が前期中に完了する予定です。これまで感染が確認されてからワクチンが完成するのには10年近くかかるのが常識でした。今回は、分子生物学の地道な研究の積み重ねが功を奏して、mRNAワクチンという手法が確立され、1年少々の短期間で完成しました。そもそもワクチン接種は、体内の獲得免疫機能を事前に訓練することを目的として行われます。従来は弱毒化したウィルスそのものを訓練開始の合図に使ってきました(生ワクチン)。今回は注入されたmRNAの遺伝情報に基づいて細胞にウィルスの一部分(突起)を大量に合成させ、訓練を開始させる方法が取られました。この方法そのものは30年ぐらい前にすでに提案されていたようですが、注入されたmRNAがすぐに分解されてしまうこと、細胞内に未知のmRNAを導入する際に不要な反応が起きてしまうことなどの難問が解決され、ついに今回の実用化に至りました。農学部の学生さんには、是非このワクチンのメカニズムと開発の歴史を理解してほしいものです。日経サイエンス5月号の「COVID-19ワクチン接種―日本に上陸mRNAワクチンの実力-」がとてもよい解説記事です。

 

身近な登山の4回目は、同じ地区にある割にはあまり認識されていない山です。

7)高倉山(山大南方):吉田キャンパスの校舎は東西方向にきれいに並んでいるので、すべての校舎の南側の窓から正面に見えるのが高倉山(標高380m)になります。8合目あたりにある送電線用の鉄塔が一つの目印です。登り口は複数ありますが、一番登りやすいのは中国自動車道の山口ジャンクション付近(黒川地区)からのアプローチだと思います。大きなため池の横を通り登山口(標識有)にたどり着いたら、すぐにかなりの急勾配の小道が続きます。鉄塔までは迷うことはないと思いますが、そこから先は赤いリボンを頼りに悪路を進みます。最後はシダをかき分けるようにして進み、広さ6畳ぐらいの頂上にたどり着きます。視界は北側のみ開けており、山大の全景を見ることができます(写真1)。

この山の北側つまり山大側の麓には「平川の大杉」(写真2)があります。根回りが10mを超す巨木で、なんと昭和3年に国が指定した天然記念物なのです。大学の留学生会館横の通用門から自転車で10分もかかりませんので、是非一度見学に行ってください。

 

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2021-7-2.jpg 写真2

 

 



月刊農学部長 第35号(2021年6月)

 

5月 長引くコロナ渦と身近な登山(その3)

コロナ禍での大学生活も2年目に突入しました。こんなに長期戦になるとは正直思っていなかったのですが、有名なウィルス学者のネイサン・ウルフの著書『パンデミック新時代』(2012年: 高橋則明 訳)には、今後未知の感染症が頻繁に発生する可能性が予言的に書かれていました。その理由として、アフリカや中国の奥地まで開発が進むにつれ、新規ウィルスを保有する動物たちと接する機会が増えることなどが説明されていました。振り返ってみれば、2003年に中国を中心に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012 年に確認された中東呼吸器症候群(MERS)、今回のCOVID-19(2019)と新規のウィルス性感染症が次々に、そしてだんだん間隔が短くなって襲来している事実があります。様々な対策が「Postコロナ」から「Withコロナ」に変わってきたことは、我々の社会がこれらの状況を認識しつつある証拠かもしれません。決して望ましい姿とは思いませんが、遠隔講義はよくある大学風景となる可能性があります。吉田キャンパス内での感染情報に基づき、5/13(木)~5/21(金)の間は急遽対面授業禁止となりました。写真1は6番教室でネット配信ツールwebexを使って遠隔講義中の横山先生です。

 

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さて、3回目になりました身近な登山シリーズですが、今回は山口盆地で最も有名な山と思われる「姫山」です。

 

6)姫山(山大北方):山口盆地の真ん中にあり湯田温泉街が一望でき、高さ(標高199m)も手ごろで人気の出そうな山なのですが、登山道があまり整備されていません。有名なブラック伝説がある山なので、ちょっと敬遠されているのかもしれません。椹野川沿いの大内側からアプローチすると、8合目ぐらいにある放送局の反射板までは迷わず登れますが、それから先は尾根伝いに悪路を進むことになります。頂上には、三角点の石碑の他、なぜか郵便ポストと鐘が設置されていました。頂上からは西側のみ視界が開けており(写真2)、中央に見える緑の山が先月紹介した鴻ノ峰で、その右奥にある峰が東鳳翩山、中央やや左側にある高い峰が西鳳翩山になります。

 

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月刊農学部長 第34号(2021年5月)

 

4月 1年生の対面授業と身近な登山(その2)

1年生の授業のほとんどは、他学部の学生たちと一緒に共通教育棟で行われます。100人以上の講義が多いため、最初の1週間(4/9~)は念のため遠隔講義となりました。その後(4/16~)対面講義が始まり、いつもの大学講義風景が1年ぶりに戻ってきました(写真1)。やはり、対面講義をしていると「学校で教えている、学んでいる」という実感が湧いてきます。最近は、考える力を養うために、諸外国を見習って双方向型アクティブラーニングが推奨されています。その教育改革の方向は正しいと思いますが、中には寺子屋みたいな一方向型講義が得意な学生さんもいるような気がします。先生の話を聞きながら自分の知識を効率よく増やし、次に自分で考える材料として頭の中に整理する学習スタイルに魅力を感じる自分はやはり古いタイプの教育者なんだろうと思います。残る教員生活において、少しでも意識改革をしなければ時代に取り残されてしまうのかもしれません。

 

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さて、前回(身近な登山)の続きです。今回紹介する山も山大から歩いて往復しても半日以内で終わるコースで、舗装道路がかなり整備されているので、ジーパン・革靴でも大丈夫かなと思います。

 

4)亀山:山口市の中心にある丘です。サビエル記念聖堂が中腹にあり、麓には市役所、美術館、博物館などがあるので、訪れたことがある人も多いかと思います。頂上の公園は標高70mぐらいですが、ほとんど階段で登るので、一気に登ると結構な負荷がかかります。実は約50年前まで山口大学はこの地区にあって、市役所はかつて教育学部だった建物をそのまま使っているのです。

 

5)鴻ノ峰:登山道は木戸神社(木戸孝允が祭られている)から車道を登っていくのが有名ですが、山口大神宮の裏から山道を登るコースもあります。1556年に大内氏によって築城が始まりましたが、城主が目まぐるしく変わり、1638年には江戸幕府の命令で廃城となりました。頂上(標高338m)には石垣や井戸跡などが残っていて(写真2)、戦国時代のちょっと血なまぐさいにおいがするのは気のせいでしょうか。6合目付近の休憩所から、山口大学を含む湯田温泉付近を一望できます。

 

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月刊農学部長 第33号(2021年4月)

 

3月 キャンパスの春と身近な登山(その1)

『月刊農学部長』も1周して、春になりました。これまで、キャンパス内の花をいくつか紹介してきましたが、2周目のスタートは農学部周辺に特に多い「こぶし」・「白モクレン」です。この季節は「桜」に話題が集まりがちですが、その半月ぐらい前にキャンパス内の花のトップバッターとして、白い大きな花が一斉に咲きます(写真1)。開花するとすぐに花弁が変色してしまいますが、満開直前までは純白の大きな花がとても印象的です。柔らくおいしそうな花弁ですが、古くから漢方薬として使われていて、花粉症にも効くという記述も見られます。

 

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今年度も引き続きコロナ感染対策を講じながらの新学年スタートになりそうです。山口市はクラスター発生もなく比較的落ち着いた状況が続いていますし、昨年に比べると対処方法も分かってきました。そんな中で、山でも登ってみようかという学生さんのために、私がこの5年間ぐらいに登ったことのある、「歩いて行ける10名山(?)」を紹介したいと思います。

山口市はその名の通り、山の入り口にある街ですので、1000mを超える本格的な山はありませんが、徒歩または自転車で麓まで行って、ちょっと登ってみるぐらいの山なら結構あります。今回は、超初心者用として3か所紹介します。いずれの山も頂上にテーブルと椅子が整備されてますので、ランチを持って行くのもいいと思います。山と言うより、丘ですね。

 

1)共育の丘:キャンパス内では、果樹園を除くと一番高いところ(海抜30mぐらい)です。登り口は数か所ありますが、大学会館の裏に案内の看板がありますので、参考にしてください。一昨年、私は頂上の広場で子タヌキと遭遇し、お互いにとても驚きました。

 

2)山大裏の水源池公園:東門から15分ぐらい歩くと頂上(海抜80mぐらい)まで行けます。夏は少々草木が道を覆ってしまって歩きづらくなりますが、キャンパスの向こうに夕日が沈む風景はなかなかきれいです。特に写真撮影が趣味という人は一度トライする価値があると思います。

 

3)象頭山:山口駅の裏の山ですが、登り口は鰐石橋付近です。毎年頂上(海抜50mぐらい)に5月はこいのぼり、12月は電飾ダンボが登場します。長年、なぜダンボ?と思っていましたが、古い地図で山の名前を発見して合点がいきました。椹野川の対岸から見ると象の頭に似てなくはないですが(写真2)、誰のネーミングなのでしょう。頂上からは山口駅周辺が一望できます。

 

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月刊農学部長 第32号(2021年3月)

 

2月 論文審査発表会

 この時期の農学部のメイン行事は、博士、修士および学士の学位に関する発表審査会です。それぞれ、3名、33名および102名の学生さんたちが登壇しました。今年は会場での密集を避けるために、入室者の人数制限を行い、遠隔配信も併用する形式が採用されました(写真)。最近の学生さんはパワーポイントの扱いにも慣れていて、人前で話すのが苦手な学生さんはかなり少数派になったように思います。それでも、質疑応答になると途端にトーンダウンする学生さんはしばしば見られます。そこは本人の勉強量が直接反映される部分ですから、「調べていません」とか「わかりません」で済ませてしまった学生さんは大いに反省をしてください。近い将来、仕事で同様な場面に直面したら、発表の背景から質疑応答まで全責任が取れるようにしっかりと準備をして臨んでください。

 さて、昨年度は急遽中止となった卒業式と入学式ですが、今年度は午前午後分割および無観客(WEB配信)形式で実施されることが決まりました。応援団の演舞や吹奏楽の演奏など、大学らしいハイクオリティーの演出が無いのは寂しいところですが、コンパクトな式典となる予定です。詳しくはHP(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/news/_8425/_8680.html)をご覧ください。私は、初めて壇上から見ることになりますので、ちょっと楽しみです。

 

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月刊農学部長 第31号(2021年2月)

 

1月 静かなキャンパス

 例年、年明けから2月末まで、キャンパスはとても静かな雰囲気になります。それは、色彩豊かな花も咲かず、にぎやかにさえずる鳥も少なくなるなど、生物界全体が不活動になることが一因です。また、大学特有の事情として、後期の定期試験、大学共通テスト(昨年までは大学センター入試)・前期個別試験等、様々な試験が行われることも影響しているかもしれません。特に今年は、コロナウィルス感染拡大防止のために、賑やかなことはほとんど自粛対象になっており、一層サイレントな感じが漂っています。1月9日(金)は、記録的な低温で日中も雪が溶けず、まさにそんな静かな一日でした(写真1:農学部中庭)。

 そんな中、農学部の4年生および修士2年生の学生さんたちは、2月中旬の締め切りに向け、卒業論文および修士論文の作成に追われています(写真2)。手を動かして実験しているときは何かしらの進歩が目に見えるのですが、文章を書くという作業は全く前進しない時間を何回も経験することになります。これは、指導する側の先生たちも同じで、みんな過去に何度も苦しい思いをしてきました。動画・画像が氾濫していて、表面的な理解が感覚的にできてしまうこの時代に物事を深く理解するためには、文章にまとめる作業が最も効果的だと思われます。人工知能(AI)は画像や音声データを処理するのはかなり得意で、すでにヒトを超えているかもしれませんが、言葉や文字を理解して創造的文章を自作する作業には今なお苦戦しています。これは、文章にまとめるということが、最も頭を使う作業であることの証明かもしれません。非常につらい作業ですが、是非、就職前に自分の言語中枢をフル活動させて、AIに勝る本当の人間らしい力を少しでも高めてください。社会人になったとき、間違いなく役に立つ能力です。

 

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月刊農学部長 第30号(2021年1月)

 

12月 クリスマスツリーと門松(with はぎのさぎり)

 COVID-19に振り回された1年が終わろうとしています。思えば、昨冬に感染拡大が始まったころはまだまだ呑気なもので、学務委員長としてタイのカセサート大学に海外出張にも行きました。春になり、卒業式と入学式が中止になった時にはさすがにただ事ではないと感じましたが、「ゴールデンウィークまでには気温も上がって、紫外線がやっつけてくれるかも」と楽観視していました。夏に第2波が来た時には、ちょっと長期戦は覚悟したものの、今年中には収まるだろうと思っていました。結局、農学部の少人数クラス(60人以下)は3密を回避しながら対面授業ができましたが、100名以上の共通教育等は遠隔のまま年末を迎えています。そんな中、ゼミ活動(卒論・修論の研究)および就職活動には、それほど大きな影響がなかったことは幸いでした。就職活動に関しては、面接等が遠隔になり、ムダな移動費を使うことなく助かったという声も聞かれました。今後、地方大学の学生にとっては、むしろありがたいシステムとなるかもしれません。

 最後に、山口大学正門のクリスマスツリーと卓上門松(背景は附属農場の見島牛:はぎのさぎり君)の写真を掲載しておきます。来年が穏やかな1年となりますように祈念しながら、月間農学部長2020を終了したいと思います。ありがとうございました。2021年もよろしくお付き合いください。

 

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月刊農学部長 第29号(2020年12月)

 

11月 キャンパス内の並木と石碑

 総合移転から50年たった吉田キャンパスには見事な大木がたくさんあり、並木と呼べる木々も何か所かあります。最も長いのが農学部本館から東門に向かって伸びるまっすぐな道路沿いの楓(カエデ)並木でしょう。200m以上の直線に楓の木が約5m間隔で43本並んでいます(写真1)。農学部周辺には欅(ケヤキ)、コブシなど黄色から赤茶色の紅葉樹が点在していて、この季節なかなかの景観です。

 

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 この楓並木に本数では負けていないのが農場周辺のメタセコイアです。防風林として植えられたようで、狭い間隔で30本ほどが立ち並ぶ場所が3か所(農場・牧場周辺、果樹園内部)あります(合計100本以上)。頻繁に刈り込まれているのであまり大きくありませんが、本来は、正門を入って真っ先に目に入る3本の巨木のように高さ25mぐらいまで成長する木です(写真2)。この3本のうち1本は、20年ほど前に強風(雷だったかも)によって、半分ぐらいの高さで折れてしまいましたが、その後2本の側枝が垂直方向に成長して、今ではほとんどそん色のない三角錐形になっています。

 この3本のメタセコイアは、たぶんキャンパス内で一番高い木なので、多くの山大関係者が認識していると思うのですが、その根元にある石碑に気づいている人はどのくらいいるでしょうか?実はこの石碑は40年以上前に息子さんを交通事故で亡くされたご遺族の方が設置されたものです。かつて構内の車両規制がなかったころ、バイクに乗っていた学生さんが、学外者の車とこの交差点で衝突して、命を落としてしまいました。その学生さんは農学部・農芸化学科(現生物機能科学科)の所属だったと聞いています。

 皆さん、これから気ぜわしい季節になりますが、この3本のメタセコイアが目に入ったら、石碑のことを思い出して、「安全運転に努めよう」と気を引き締めてください。それが遺族の方の思いに応え、この石碑の意義を高めることになると思います。よろしくお願いします。

 

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月刊農学部長 第28号(2020年11月)

 

10月 キャンパスの甘く切ない香り

 この季節、キャンパスのあちらこちらからキンモクセイ(金木犀)の甘い香りがします。週末にジョギングしながら数えてみたのですが、大小合わせて50本ぐらいはありました。その中で最も大きいのは、農学部と中高温微生物研究センターの間にある高さ8m、幅5mぐらいの木でしょう(写真1)。東から風が吹いているときは、30mぐらい離れた図書館駐輪場にも香りが届きます。漢字を見て気になるのは、サイ(犀)という字が入っていることです。直感的に花弁の形がサイの頭部みたいだからと思ったのですが、ネットで調べると「幹の色と模様がサイの皮膚に似ていることに由来」と説明がありました。中国起源の植物のようですが、あまり納得できません(写真1右下参照)。もっと合点がいかないのは、日本には雄株しかなくてすべて挿し木で増やしているという事実です。そうすると、受粉を媒介する虫を誘引するための甘い香りは、いったい何のためなのでしょう。甘さの中にちょっと切なさも感じてしまいました。

 

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 農学部では、後期になってほぼすべての授業が対面形式で行われています。写真2は私が担当する講義の風景です。窓と入口が開放されていること,前2列が空いていること,席が一つ置きであること,皆がマスクをしていることなどがいつもと違いますが、かなり通常の授業風景に近づいてきました。このまま感染者が発生することなく、コロナ騒動が収束することを願っています。

 

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 10月31日(土)は毎年恒例の山口大学Home Coming Dayです。今年はオンライン開催“あっとホームカミングデー”となっており、大学トップページ(↓)から入ることができます。農学部では10コンテンツをオンデマンド配信しています(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/alumni/hcd/2020.html#711月以降も閲覧可)。オープンキャンパスで公開したコンテンツもありますので、OB・OGのみならず、受験生およびその関係者の皆様もぜひ訪問してみてください。

 

2020-11-3.jpg 右図をクリック

 

 

 

月刊農学部長 第27号(2020年10月)

 

9月 キャンパス内の木の実

キャンパス内で多くの野鳥が見られる理由の一つに、彼らの食料が豊富であることも挙げられるでしょう。その中には我々が食べても結構おいしい物もあります。例えば、初夏の野イチゴ(共育の丘)、桑の実(農学部中庭)、グミ(農場周辺)などです。これらの食べ物は、小さいころ山の中でおやつ替わりに食べていた記憶があり、おいしいというより懐かしさを楽しんでいます。また、においが強烈であまり拾う人もいませんが、正門駐車場付近には銀杏もたくさん落ちています(写真1)。

この季節、私の一押しは、キャンパス内ではありませんが、椹野川沿いにある“オニ胡桃(クルミ)”です。上流の宮野湖から下流の小郡まで約20kmの中に50本ぐらいはクルミの木が点在しています。中には中州にあり近寄ることもできない木もありますが、多くは川の側道沿いにあり(写真2)、簡単に実を採ることができます。市販の胡桃(ペルシャグルミ系)とはちょっと種類が違うので硬くて中身を取り出しにくいのですが、外側の果皮を剥いだ後(写真3左)、堅果を電子レンジで1-2分加熱すると割れ目ができ、そこから細いフォーク等を入れて割ると(写真3中)実(子葉)が取り出せます。この実が加熱することにより独特の風味を出し、“香ばしい”そして食感のいい食べ物になります(写真3右)。縄文時代以降の遺跡には堅果が多数出土されるそうで、保存性に優れ栄養価の高い食材としてたいへん重宝されたようです。手間をかけた割には、ちょっとしか実がないのが残念ですが、ぜひ一度試してみてください。

 

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10月1日からは、後期授業が始まります。幸い、農学部は1学科50人前後と小規模なので、ほとんどの講義が対面形式で展開されます。三密回避、手指の消毒、マスク着用など細心の注意を払いながら、教職員と学生さんが一体となって、普通の大学生活を取り戻す予定です。

 

 

 

 

月刊農学部長 第26号(2020年9月)

 

8月 キャンパスの野鳥(その2)とオープンキャンパス

 前回に続いて、キャンパス内で観察できる鳥の運動学です。鳥はもちろん飛ぶことができる点が最大の特徴ですが、中にはうまく飛べない鳥もいます。身近なところではニワトリ、動物園の常連であるダチョウなどが該当します。その他、南アフリカに出張した時にホテル周辺の野原を走り回っていて驚いたのですが、ホロホロ鳥なども飛ぶのは苦手なようです。彼らの共通点は、体重が重くて羽が短いことで、体を浮かすための浮力を自力で得ることが困難です。代わりに、大腿部(もも肉)が発達していて、走るのが得意です。ダチョウは時速70kmの記録があるようですし、ホロホロ鳥も時速30kmぐらいでは走っているように見えました(左下写真)。

 そこまで速くはないですが、キャンパス内の野鳥で一番走るのが得意なのは、たぶんハクセキレイです(右下写真)。ニワトリやダチョウと違って、飛ぶのも普通に得意ですが、とにかく走行時のピッチが速い。ビデオ撮影してカウントしてみると1秒間に17歩ぐらいはピッチを刻みますので、ヨチヨチ・ピョンピョンと歩く他の鳥とはだいぶ様子が違います。見通しのいい平らな場所が好みのようで、かつては水辺の鳥だったようですが、今では人間社会に適応して駐車場の鳥として有名です。実測値が他にはないので適当な推論ですが、小鳥の中では最速のスプリンターかもしれません。

 

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 8/30(日)はオープンキャンパスでしたが、こちらもオンラインです(写真2:ZOOM画面)。ビデオによる学部・学科紹介や、デモ講義・実験、授業ライブなど様々なコンテンツがありました。生物機能科学科の責任者である片岡先生(写真中央)は「どれぐらいの視聴者がいるのか、例年のオープンキャンパスに比べて反響はどうなのかなど、興味深い試みです」とコメントされていました。でも、やっぱり直接生徒さんたちに会いたいなーと言うのが我々の本音です。参加してくれた高校生の皆さんありがとうございました。近い将来、山大・農学部で会えることを楽しみにしています。

 

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月刊農学部長 第25号(2020年8月)

 

7月 キャンパスの野鳥&前期試験

 キャンパス内で常に見ることができる野鳥もたくさんいます。カラス、鳩、雀、ツバメなどはもちろんですが、農学部周辺の木々には、ムクドリとヒヨドリがしょっちゅう群れをなして留まっています。そんな中、私のおすすめはモズです。この写真は農学部北側の木立で撮りました。丸っこいかわいい頭の小鳥ですが、実は最も身近な猛禽類です。確かに口ばしと目つきには、鷹的な鋭さを感じます。また、見ることはできなくても耳を澄ませは確実に近くにいることがわかるのが、ウグイス、ホトトギス、キツツキなどです。この季節、毎朝のようにホトトギスの鳴き声が理学部の方向から聞こえ、歩いて探しに行きましたが、全く発見できませんでした。

 一方、ちょっと散歩して農場周辺に行くと、シラサギ、アオサギはかなりの確率で見ることができます。とても用心深いので、10mぐらいまで近寄ると、たいてい飛び立ちます。この飛び立つ瞬間が、生体力学的には興味深いと感じます。重たい飛行機が飛び立つのは、時速300km近い水平スピードで大きな揚力を得るからと理解できますし、数グラムしかない蝶が風の力を利用して舞い上がるのも納得がいきます。しかし、体重数kgはありそうな大きな鳥がほぼ無風状態の中で、ほぼ垂直に飛び立つのはとてもハイパワーな出力が必要だと思われます。せわしく羽を動かして浮力を得ているのは確かですが、最初の一瞬は相当な脚力が必要だろうと思われます。脚の先端は細くて棒のようですが、体幹に近いところは、体重の割には結構大きな筋肉があるのでしょう。20年ほど前に獣医の先生に頼まれて、鳩の大胸筋を調べたことがありますが、ハイパワーの出力を有する特定の筋細胞がとても肥大しているのに驚きました。

 今から1~2億年ほど前の化石から、キリンほどの体高があり、体重が200kg以上もある翼竜がいたことがわかっているようですが、どうやって飛び立ったのでしょうか。化石から復元された大型翼竜は、首が長くて体幹の後方に羽が位置する形態のようですから、このシラサギの体型と飛び方が参考になるような気がしています。

 

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 7月末になり、対面の試験もはじまりました。例年以上に、しゃべらない、間隔を空けて座る、終わったらサッサと帰るなどの注意事項を遵守しながら、試験が行われています。この日、3年生に対する「土壌微生物学」の試験を実施した横山先生は、「テストがいつものように対面でできてホッとしています。後期は対面講義ができるといいのですが、、、」と感想を述べられました。この他、オンラインでの試験も行われています。いつも以上に、静かなテスト週間です。

 

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月刊農学部長 第24号(2020年7月)

 

6月29日 キャンパスの花&学生実験

4月初めの「月刊農学部長」で、キャンパス内の桜が満開であることを紹介しました。その後、正門周辺の里桜、つつじなど続々と開花しましたが、多くはピンク系の華やかな色調でした。現在は、藤、桐、花菖蒲、アジサイなどブルー系の花がたくさん咲いています。

花菖蒲は、ちょっと目立たない場所ですが、正門を入って右手にある「長州五傑記念碑」のある小さな公園の池にたくさん咲いています(写真1上)。私のおすすめは、さらに地味ですが、農学部付属農場の桐の花です(写真1中央)。桐は高級タンスの材料として有名ですが、セサミン、タンニンなどの成分が含まれていて抗菌性に優れていること、多孔質(ミクロの小部屋が多数存在)で、保温効果が大きく、吸湿性が高いなど多くの要因があるそうです。まだまだタンスになるほどの巨木ではありませんが、牧場周辺に3本の桐の木がひっそりと立っていて、6月初旬まで淡い紫の花が咲いていました。色と形は藤の花と似ていますが、花が垂れ下がって咲く藤(写真1下)と異なり、桐は花を上向きに伸ばして咲かせます。ちょっとWebで調べてみると、桐は鳳凰の止まる木として古代中国で神聖視されていたことに倣って、桐の花紋は日本でも菊紋章に次ぐ格式のある紋とされ、足利尊氏や豊臣秀吉の頃から「政権担当者の紋章」という認識が定着したと記載されていました。確かに、尾の長い鳥が止まるには、葉っぱが少ない桐が最適かもしれません。現代でも、総理大臣が記者会見するときの机の前面に桐花紋が入っているのをテレビで見かけます。

学生のみなさん、桜に始まりアジサイまできたキャンパス内の花の変化を、来年はぜひ自分の目で確かめてください。意外とキャンパス内のマイナーな草花がきれいですよ。

 

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写真1 上:山大の花菖蒲、中央:山大農場の桐、下:山口市仁保地区の藤(車と比べると大さがわかる)

 

前回、一部の学生実習がスタートしたことを写真とともにお伝えしましたが、今月はさらに学生実験が本格的に対面化されました。一人一人が単独で行うタイプの実験内容が多い状況ですが(写真2)、だいぶ普通の授業風景が戻ってきました。この日、3年生を対象にした応用実験を担当していた小崎先生と木股先生は「感染対策に十分留意しながら、久しぶりに大学にて皆と顔を合わせての学生実験を行いました。体調を崩している人もなく安心しました。」とコメントされていました。実験開始前に体温測定を行ったり、三密防止に配慮したりとまだまだコロナ対策は続きますが、例年並みの授業内容が確保できるように工夫を凝らして実験が展開されています。

 

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月刊農学部長 第23号(2020年6月)

 

5月28日 野鳥観測&実習スタート

前回お話したように、山大周辺の川辺では多様な動物たちを観察することができます。哺乳動物たちにはたまたま出会うという感じで、お互いにびっくりすることが多いのですが、鳥類には狙って会うことができます。今年になってから見た鳥類を大きい順に挙げると、タカ(ノスリ?)、キジ、ヤマドリ、フクロウ、アオサギ、シラサギ、カワウ、マガモ、カワセミ、ヤマガラ、・・たぶん20種類ぐらいは挙げられます。

先週は、堂々と路上を歩いていた雄キジ(写真1)が川に向かって飛び立った後、アオサギのすぐ上をかすめ飛ぶ瞬間を写真に収めることができました。その直後に、土手の草むらに完璧な保護色で隠れていたパートナーの雌キジ(写真2)が飛び立つ瞬間も撮ることもできました。キジは体が重くて翼も短く飛ぶのが苦手なので、約30mの飛距離はほぼ全力飛行です。2羽は仲良く同じ場所に着地しましたが、きっと草陰で一緒にゼーゼー、ハァハァしていたことでしょう。キジが出てくる桃太郎のお話は、室町時代に原型が作られたらしいのですが、その頃から最近までとてもポピュラーな鳥だったようです。今では野生のキジを見たことがない人もたくさんいるようですが、日本の固有種で、何と言っても「国鳥」(1947年制定)ですから、一度は観察する価値があると思います。

野鳥観察のガイドブックやスマホの写真や鳴き声情報を参考にして、野生動物たちを同定するのはなかなかに楽しいものです。山大生ならではの本当に贅沢なアクティビティーとしてお勧めします。

 

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さて、政府の緊急事態宣言も5月25日に全国的に解除されました。山口大学を含むほとんどの大学では、クラスター発生を警戒して、講義の多くは今なお遠隔形式で実施されています。一方、ゼミ活動や学生実験・実習については規制が一部緩和され、少人数での対面授業がスタートしています(写真3)。この日、農場での実習を担当した荒木先生・藤間先生・佐合先生は、「多くの学生が真面目に“stay home”していたとのことで、久しぶりの晴天下、初めての農場での作業で“気持ちいい!楽しい!”と喜びを表していました。私たちも嬉しかったですね。」とコメントされました。徐々にではありますが、普通の大学生活にもどりつつあるようです。

そんな中で一番苦労しているのが、4年生及び修士2年の就職活動中の学生さんたちです。例年だと、半数以上の学生さんが何らかの形で「内々定」をもらっている時期ですが、今年は採用活動が何度も順延され、今から開始という企業、公務員試験も多いようです。そもそも経団連所属企業による就職協定では、確か2020年までは「3年次3月に就職活動解禁、4年次6月に採用選考解禁」となっていたはずです。コロナ感染拡大のせいで、図らずしも就職協定通りに企業が採用活動を行っているわけです。そう考えると、就活生も少しは気が楽になるのではないでしょうか。

就活生のみなさん、あせらずに、今やるべきことを見失わずに頑張りましょう!!

 

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月刊農学部長 第22号(2020年5月)

 

4月29日 COVID-19特別対策期間

今年に入ってからずっとニュースの主役は「コロナウィルス(COVID-19)」です。直径は100-200ナノメートルぐらいだそうですから、髪の毛の直径の1000分の1ぐらいの大きさです。

なかなか手ごわくて、簡単には克服できそうにないですが、きっと近い将来に科学の力も利用して封じ込めることができると信じています。たとえば、同じコロナウィルスのSARS(重症急性呼吸器症候群)は21世紀に入ってすぐ流行しましたが、患者さんの検体採取から病原体が特定されるまでに2か月を要したそうです。一方、今回の新型コロナは1週間程度でウィルスが特定され、その数日後にはインターネット上にCOVID-19の遺伝子データが公開されました。これらの基礎データは、きっと新薬の素早い開発につながることでしょう。皆さん、COVID-19との戦いは、もう少しの辛抱であると信じて、不要不急の外出自粛に努めましょう。

ところで、多くの大学では5月の連休明けまで授業を開始しないなどの措置が取られました。山口大学でも、4月13日から5月6日まで、いわゆる普通の講義(対面形式)は禁止され、遠隔講義のみが実施されています。多くの遠隔講義は、教壇に立つ教員と数十名~百名程度の学生を修学支援システムあるいはZOOMを利用してつないで、実施しています(写真1)。この時、誰もいない教室で熱弁をふるっておられた松井教授は「学生さんの反応が見えないのでやりにくいのは確かです。東進の先生方はすごい」とコメントされました。また、研究室単位の活動は、研究室の教員と自室に居る学生さんをつないで、もっと小規模で実施しています。私の場合、週2回のペースで8名の学生さん(4年4名・修士4名)とモニター上で対面しながら英語論文紹介等を行っていますが、だいぶ違和感がなくなってきました(写真2)。残る最大の問題は、実験・実習をどうやって実施するかです。

不要の外出を控えることは大切なことですが、ジョギングや散歩は必要な運動として自粛の対象外とされていますので、人が少ない所を一人で散歩することぐらいのことは許されています。むしろ、学生さんのメンタルヘルス的には、大学周辺(山口盆地)のウォーキング、ジョギング、サイクリングをお勧めします。周辺の小川はもちろん山口盆地の中心を流れる椹野川の水はとても澄んでいて、たくさんの野生動物を見ることができます。私がここ数年間に遭遇した哺乳動物を大きい順に挙げると、イノシシ、ニホンザル、タヌキ、イタチ、テン、ヌートリア(写真3)・・・と10種類ぐらいはすぐに出てきます。実は、鳥類はもっと多様です。県庁所在地にある大学周辺で、こんなにたくさんの野生動物と会えるのはなかなか珍しいのではないでしょうか。ぜひ、身近な野生動物の生態を観察してみてください。きっと彼らの本能、賢さに感動しますよ。

 

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月刊農学部長 第21号(2020年4月)

 

4月14日 対面授業禁止

4月9日に、「保護者の皆様、ご安心ください、4月13日から普通に授業が開始されます。」と書きましたが、本日「吉田キャンパスにおいては4月14日から5月1日までを特別対策期間とし、対面授業を実施せず、遠隔授業のみとする」という大学の決定が通知されました。先週末に、山口市でも感染経路の分からない感染者が発生したこと、山口市教育委員会が市内の小中学校の臨時休校を決定したこと、等による苦渋の決断だったようです。

共通教育・専門教育ともに、いくつかの遠隔講義は実施されますので、学生の皆さんは山口に留まり、大学あるいは農学部からの連絡を待っていてください。大学から割り当てられた公式メールアドレスおよび大学HPに最新情報が送られますので、毎日チェックするようにしてください。新型コロナウィルスへの対応は、まさに今が勝負の時と言われています。教職員とともにこの難局を乗り越えていきましょう。

コロナウィルスの危険性、感染拡大の防止策に関して、以下のyoutubeアニメーション(10分弱)がとてもよくまとめています。日本語訳も的確に表示されますので、是非一度参照してみてください。

https://youtu.be/BtN-goy9VOY

 

 

 

月刊農学部長 第20号(2020年4月)

 

4月9日 大学スタート

山口大学でも卒業式(3/24)と同様に入学式(4/3)も中止となり、ちょっと寂しいスタートとなってしまいました。結局、新入生にとって最初の大学行事は、農学部の大講義室で行われた農学部オリエンテーション(4/6午前)となりました。例年は2学科合同で約100名の新入生を対象に行うのですが、今年はなるべく接触を避けるために間隔を空けて座ってもらい、学科別(52人)に分けて2回行いました。私もマスクをして、学生との距離を隔てて「あいさつ」をしましたが、思ったより違和感がありませんでした(写真1)。

少々バタバタした感じでスタートしましたが、保護者の皆様、ご安心ください。その後はいつものように、履修登録の説明(4/6午後)、健康診断(4/7)パソコン説明会(4/8)などを経て、各自がPCやスマホから履修登録を行い、4月13日から普通に授業が開始されます。1年生の前期は、1日に平均3~4コマ(1コマ90分)の授業がありますが、8割方は共通教育科目ですので、多くの時間を他学部の学生とともに共通教育棟周辺で過ごすことになります。

ウィルス感染拡大という予想外の事態が生じましたが、みなさんがスムーズに大学生活に馴染めることを願っています。

 

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4月3日 自己紹介

本年度から農学部長を務めます宮田浩文です。よろしくお願いします。

1960年に鹿児島県で生まれ、小学校から高校までを鹿児島市内で過ごしました。その後、国内外の大学・研究所および山口大学教養部を経て、 1996年4月から農学部に所属しています。研究分野は「応用生理学・神経筋生理学」で、運動健康科学(共通)、環境適応生理学(学部)、分子細胞機能科学(大学院)等の授業科目を担当しています。

学部長のノルマの1つに「月刊農学部長」があります。前学部長がHP委員長に促されて始めてしまった「悪しき(?)習慣」です。それでも毎月読んでいるうちに、HPが賑やかになるし、大学教員や学生の様子が垣間見えるのも悪くないと思うようになりました。前学部長のように気の利いた文章や写真を掲載することは到底できませんが、農学部の日常を知ってもらう一つの機会になれば幸いです。

さっそくですが、この季節の定番である「さくらの風景」を紹介します。山口大学の吉田キャンパスは、市内の亀山地区(サビエル記念聖堂付近)から総合移転して約50年が経ちました。その頃に植えたと思われる桜が結構な大樹になり、今が全盛期ではないかと思われるほどキャンパス内のあちこちで咲き誇っています。卒業生を送り、新入生を歓迎するこの時期に、欠かせない風景になっています。その中でも、農学部から歩いて1分もかからない所にある本部(学長室のある建物)広場は桜の密度が高い場所の1つです。写真2のように、桜の中に設置されたテーブルが、研究室やサークル単位での昼食や懇親会に利用されています。今年は例年に比べると、コロナウィルス感染拡大の影響で利用する学生が少ないようです。

 

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月刊農学部長 第19号(2020年3月)

 

退任にあたって

この第19号で私の月刊農学部長は終了です。お読みいただいた方がどれだけいるのか不明ですが、読者のみなさんありがとうございました。学部長として4年間、公私ともにいろいろありましたが、後半の2年間は、この月刊農学部長を書くことで、ちょっとした息抜きとリフレッシュができました。執筆の機会を与えてくれた農学部HP委員会の方々、特に、遅れがちな原稿を辛抱強く待ってくれた委員長の鈴木先生には心より感謝いたします。 COVID-19のパンデミックによる混乱に最後まで振り回され、その真っ只中で学部長を引継ぐという、なんとも締まらない幕切れですが、後任の宮田先生には、精一杯のエールを送らせていただきます。

さて、もうここらでよかろうか・・・・・I shall be released・・・・・おっと、4月からは町内会班長の当番が待っていました。

 

月26日 桜咲く

今年も研究室の学生たちと午前中に桑園の除草を行い、お昼には大学構内の咲き始めた桜の下でちょっと早いお花見をしました(写真1)。年年歳歳花相似、歳歳年年人不同。入学式はありませんが、例年通り満開の桜が新入生を歓迎してくれるでしょう。

 

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月24日 卒業式・修了式中止

日本中の多くの大学同様、山口大学でもこの日に予定されていた卒業式・修了式が(そして4月3日の入学式も)中止となってしまいましたので、学部HP(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2020/03/post-138.html)に、卒業生・修了生への学部長の挨拶と各種表彰者のお名前を掲載することにしました。学部長の挨拶は、事前にビデオ撮りして、全学HPの卒業式・修了式特設サイト(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/_8383/_8390.html)にアップされました。リハーサルなしのぶっつけ本番の収録だったため、カメラ写りはイマイチでした(家族からは「台本読みすぎ」とか「いつもと違う」など手厳しい指摘がありました)が、心を込めて語った贈る言葉を受け取ってもらえれば幸いです。また、全学の卒業生代表として挨拶を行うはずだった学長表彰者の伊藤爽夏さん(農学部生物資源科学科)には、学部長室で私から学位記、表彰状、記念品などを直接手渡しして、お祝いの言葉と今後の活躍への期待を伝えさせていただきました(写真2)。それ以外の卒業生・修了生の学位記などは原則郵送となりましたが、大学院進学者と一部の希望者は、所属する研究室の指導教員からの手渡しとなりました。私の研究室でも学位記を手渡しして、ささやかながらお祝いに記念撮影をしました(写真3)。晴天で卒業式・修了式日和だっただけに、ウイルスの流行が本当に恨めしく思われました。

 

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月13日&16日 学位(博士)授与式

全国的な新型コロナウイルス感染拡大でさまざまな大型イベントが中止になる中、鳥取大学大学院連合農学研究科と山口大学大学院の学位(博士)授与式が、それぞれ13日と16日に行われました。いずれも時間短縮のために式次第が簡素化され、謝恩会は中止、参加者は学位取得者と学長をはじめとする教員および事務職員限定で、式を見守る親族や友人のいない無観客試合のような授与式になりました。鳥取大学の授与式は、式場となった会議室の窓を開けて換気を行い、学長が挨拶するときにマスクを外す以外は、参加者全員が常時マスク着用で実施されました。幸いにも、当日の鳥取は快晴かつ温暖で、窓を開けていても寒さを感じず、終了後に農学部の玄関で全員揃って記念撮影もできました(さすがに撮影の際だけは全員マスクを外しました)。一方、山口大学の授与式は、広々とした大学会館大ホールで行われ、壇上のわれわれ教員は全員マスク非着用でしたが、学位記は学長から一人一人に手渡しされず、代表者だけに授与されました。終了後、学部長室で、医学系研究科応用分子生命科学系専攻の最後の修了生になられた澄川さんに、指導教員の山田先生と高坂先生の立会いのもと、私から学位記と記念品を手渡ししました(写真4,5)。どちらの学位授与式も、忘れ難い思い出になりそうです。

 

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月刊農学部長 第18号(2020年2月)

 

学部長の任期が残り1ヶ月になり、予定では残務整理と引継ぎを済ませてぼちぼち肩の荷を下ろせるはずでしたが、想定外のCOVID-19の流行で、最後まで気を抜けそうにありません。中国での感染者の増加はピークを過ぎたようですが、それ以外の世界各国での感染者の合計が中国を上回って増加するという新たな局面を迎え、農学部においても感染防止と危機管理に気を引き締めて対応していきたいと思います。

 

月24日 山登り

3連休を利用して家族で東鳳翩山(ひがしほうべんざん)に登ることにしました。快晴で2月としては気温も高く、絶好のハイキング日和になりました。毎日パソコンにむかっての書類作成続きで、完全に鈍っている身体にとっては、かなりのハードワークでしたが、お昼ごろに無事頂上に辿りつきました(写真1)。あいにくスギ花粉のシーズンだったので、深呼吸は出来ませんでしたが、南は山口市内、北は萩に続く山々を見下ろす絶景を堪能しました。前日の山焼きで黒っぽくなった秋吉台も春霞の中におぼろげに確認できました。今年は風向きのせいか、山口市内の自宅にも、山焼きの灰がずいぶん飛んできました。暖かいコーヒーと軽食で一服してから、下山しました。途中から萩往還を通り、鳥のさえずりや満開の梅などを楽しみながら、麓の駐車場に着く頃には、もう足がくたくたになっていました。翌日の前期入試は、快い(?)筋肉痛を感じながらの出動となりましたが、本格的な春の到来を間近に感じた一日でした。

 

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月20日 昆虫食試食会

今年も、井内先生(農学部准教授)の研究室が中心となって、第7回目の昆虫食の試食会が第二学生食堂「きらら」で開催されました。新型コロナウイルスCOVID-19の国内での流行拡大により、2〜3月に全国各地で開催予定だった各種イベントや学会の中止が相次いで決定あるいは検討される中、外部への案内を自粛しての開催となりましたが、それでも農学部の教員、学生、大学院生を主体に50名程度集まって、昆虫食の新作メニューを楽しみました(写真2,3)。バッタの糞茶も用意されましたが、ほうじ茶のような味で飲みやすく、井内先生によるとダイエット効果もあるそうです。バッタといえば、アフリカ東部では、昨年末からサバクトビバッタの大発生により農作物が食い荒らされ、2月2日にはソマリア政府の非常事態宣言が出されました。繁殖に適した環境変化(高温と多雨)が大発生の原因のようですが、現在、アフリカ東部のみならず、紅海沿岸、イラン、パキスタンとインドの国境地帯などでも大発生が起こっているそうです(http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/DLrisk495e.jpg)。今年はウイルスだけでなく、バッタにも要注意です。

 

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月13日 カセサート大学とのTV会議システム試運転

山口大学とカセサート大学との大学院国際連携農学生命科学専攻(ジョイントディグリープログラム)の4月スタートを目前に控え、TV会議システムが山口大学農学部大会議室とカセサート大学内の山口大学バンコク国際連携オフィス(写真4)にそれぞれ設置され、この日試運転が行われました。最後の設置準備委員会に出席するためにカセサート大学に滞在中の委員長の山田教授ほか本学農学部の教員および事務職員らが大画面のモニターに現れ、リアルタイムでリモコンによるカメラやPC画面の双方向の操作を確認することができました。ほとんどノイズもなく、クリアな映像と音声でやりとりできるし、タイ側のモニターにも山口大学側の私たちの姿がバッチリ映っています(写真5)。今後、両大学間での会議のみならず学生の指導などにも大いに役立つにちがいありません。全世界に流行が拡大中の新型コロナウイルスなどへの感染リスクも、TV会議システムの積極的活用により軽減できそうです。モニターの向こう側で元気に微笑んでいる本学の方々に「気をつけてお帰り下さい」と告げて試運転は無事終了しました。


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月刊農学部長 第17号(2020年1月)

 

月25日 最後の三本の夜会

三本の夜会は、理・工・農3学部長の親睦を深めるために年に数回開催されますが、今回は野崎理学部長のお世話で湯田温泉街での開催となりました。3月末で学部長任期満了となる私にとっては、これが最後の夜会となるので、引継ぎと顔合わせということで次期農学部長候補者(Coming Soon!)にも同席いただきました。私が4年前に学部長に就任した時は、理・工・農の大学院統合で創成科学研究科が誕生した直後で、共同で取り組むべき課題(しかも前例なし)が次から次へと出てきて対応に手間取りましたが、最初の修了生を輩出する頃には概ね軌道に乗り、今ではすっかり落ち着いたように思います。とはいうものの、共同で取り組むべき課題は、全学的なデータサイエンス専門教育の導入(中心となって推進されている松野前理学部長がこの日は特別参加)を含め尽きることはなさそうです。三本の夜会はこれからも3学部長にとって重要な情報交換の場となることでしょう。ところで、私は何代目の農学部長なのでしょうか?夜会の後、ふと気になったので、歴代農学部長を調べてみたところ、第22代(2回就任された方が二人おられるので実質20人目)でした(表1)。ただし、初代の学部長は初代学長が兼務されていたので、第2代の村山先生(専門は私と同じ昆虫学)が最初に学部長を務めた農学部教員ということになります・・・歴史に興味が出てきたのは歳をとった証拠でしょうか?

 

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月21日 NBRPカイコ運営委員会

わが国のライフサイエンス研究の基礎と基盤となるバイオリソースを整備するために国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が推進しているナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)では、2002年のプロジェクト開始以来5年ごとに各リソースの整備に対する評価と見直しなどが行われ、第4期(2017年〜)に入ってからは、30のリソースの中核的拠点整備が進行しています(https://www.amed.go.jp/content/000026730.pdf)。その中の一つであるカイコについては、第1期から九州大学が中心的拠点となって、リソースの整備を継続的に行ってきました。私は2018年から、このNBRPカイコの運営委員会の委員長を務めることになり、年に一回開催される委員会でリソース整備の進捗状況と課題について委員の方々(私を含めカイコを研究材料として利用している外部の研究者)と議論しております。かつては世界の約60%のシルクを日本が生産し、それに伴って日本国内には数多くのカイコ品種や突然変異系統が蓄積し、遺伝学、病理学、生理学、加工利用学などの研究に利用されてきました。その結果、安価な化学繊維の発明により衣料素材生産におけるカイコの産業的価値が大幅に低下した現在でも、研究用モデル昆虫としての学術的価値は失われていません。今回の運営委員会では、多くの研究者がカイコを利用し、昆虫学のみならず生命科学の新たな発見に役立てることができるようなリソースの充実・拡大に対する多くの要望や意見が出ました。また、今回は、九州大学の箱崎キャンパスから伊都キャンパスに移転間もないカイコバイオリソース研究施設で委員会が開催され、広々とした伊都キャンパスの真新しい飼育施設を見学することもできました。この新天地を拠点とするNBRPカイコの今後の新展開を期待しつつ、移転して博多駅からだいぶ遠くなったなと思いながら、日帰りで山口に帰還しました。

 

 

月刊農学部長 第16号(2019年12月)

 

12月23日 研究室の大掃除

年末が近づいたので、学生たちと研究室の大掃除をしました。平素は週に1回程度床を拭き、たまったゴミを集積所に出しに行くだけですが、大掃除ではエアコンのフィルターや窓のブラインドを外して洗い、窓を拭き、床にはワックスをかけました。山口大学農学部が日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(協定受入)を利用して私たちの研究室に約3ヶ月間短期留学していたUyeeさん(タイのカセサート大学大学院生)も一緒に大掃除を手伝ってくれました。彼女は、25日に帰国するので、掃除終了後、みんなで鍋を囲んで慰労会兼お別れ会をしました(写真1)。彼女は初めての日本での生活をエンジョイしていましたが、冬の寒さは身にしみたようです。それでも、山口滞在中に雪を見られず残念だったと言い残して帰国して行きました。研究室の学生とは日常的に片言の英語で会話しながら、すっかり仲良くなり、帰国後もLINEなどでやりとりしているそうです。今年もいろいろありましたが、綺麗になった研究室で新年を迎えられそうです。

 

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12月17日 タイからの年賀状

来年度スタートする大学院国際連携農学生命科学専攻(ジョイントディグリープログラム)のパートナーのカセサート大学農学部から、早々と年賀状が届きました(写真2)。学部長(Dean)を中心にその補佐をする9名の教員(Associate dean とAssistant Dean)の爽やかな笑顔がとても印象的です。笑う門には福来たる、微笑みの国タイとの連携開始がいよいよ秒読み段階です。

 

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月刊農学部長 第15号(2019年11月)

 

11月29日 鳥取大学大学院連合農学研究科創設30周年記念式典

鳥取大学(基幹校)、島根大学および山口大学で構成される鳥取大学大学院連合農学研究科(鳥取連大)が発足から30年を迎え、構成3大学の学長ほか多数の関係者が集まり、ホテルニューオータニ鳥取で記念式典が開催されました(写真1)。連合農学研究科(連大)は複数の国立大学から構成される博士後期課程だけの農学系大学院で、全国6地区に設置されています。4番目に設置された鳥取連大では、創設以来30年間で1、044名の入学生を受入れて来ましたが、その過半数の567名が留学生(うち441名はアジア出身者)です。そのため、修了生は国内のみならず広く海外で活躍しており、式典後の記念講演会では、チェコ、中国および米国在住の修了生が、連大で身につけた専門性を生かして取り組んできた仕事を、連大時代の思い出とともに紹介してくれました。その後、祝賀会に移り、創設当時を知るOB教員らも交えて、30年間の思い出を語り合い、最後に私が閉会の挨拶をすることになりました。山口大学では、4年前の理系大学院改組により、大学院博士後期課程への進学ルートとして創成科学研究科ライフサイエンス系専攻が加わり、鳥取連大の比重がやや低下することになりましたが、国際的な農学博士を養成する研究科としての重要性は変わっていません。今後の鳥取連大のさらなる発展を祈念してお開きとなりました。

 

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11月23~24日 インドのメル友

つくばで開催された国際会議に出席したインド人のメル友(以下、博士)が、会議終了後、わざわざ山口まで新幹線に乗って訪ねてきてくれました。以前に実施した科学研究費の研究課題「東〜南アジアの野蚕NPVの防除と利用に役立つ比較ゲノム解析」で、インドサクサンという野蚕(絹糸を生産するカイコよりも大型の蛾の仲間)から分離したNPV(昆虫病原ウイルスの一種)のゲノムDNAの配列決定に協力していただいて以来の付き合いです。私にとって本当にありがたい研究協力者なのですが、これまでのやり取りはほぼ全て電子メールで、実際にお会いするのは今回が初めてでした。新幹線の改札口で待ち合わせ、私の車で秋吉台を案内した後に、100円ショップに立ち寄ることになりました。博士はつくばの研究所に数年間研究員として滞在したことがあるので、日本の事情には詳しく、インドへのお土産は100円ショップで仕入れるのが恒例になっているそうです。なお、私へのお土産は、木彫りの象とインドのお菓子でした(写真2)。1時間ほどで袋いっぱいの買い物をしてから、大学に立ち寄り、その後、一緒に夕食と会話を楽しみました。その中で、研究当初、私自身がインド北東部で野蚕のウイルスを探したこと(収穫ゼロ)、その際に第二次世界大戦において日本軍が大敗を喫したインパール作戦の舞台となったマニプール州の飼育現場(写真3)も訪れたこと、その作戦に従軍した私の亡父は生き延びて捕虜となり、終戦後帰国してから私が生まれたので、インド訪問に何やら不思議な因縁のようなものを感じたことなども話しました。遺伝学的に言えば、私が父から受け継いだDNAは、インパールにおいて消滅の危機を乗り越えたものなのです。博士は、翌日(24日)の午前中に広島の原爆記念館を見物してから、帰国の途につきましたが、同じ日の午後にはローマ教皇が広島を訪問し、「戦争はもういらない」と平和を願うメッセージを発信されました。大学人として、教育研究における国際交流を通じて世界平和に少しでも貢献しようという思いを強くしました。

 

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月刊農学部長 第14号(2019年10月)

 

10月26日 ホームカミングデー

卒業生や地域の方々を大学に迎え、親睦を深めるためのホームカミングデーが開催されました。今年で第7回目となりますが、昨年から理学部のサイエンスワールドと同時開催となり、多くの親子連れで各学部の企画が賑わうようになりました。今年の農学部の企画は、昨年好評だった昆虫食試食会をコアに、昆虫関連の展示を増やして「昆虫を観て、光らせて、食べてみよう(?!)」になりましたが、800人越えの来場者があり、用意した昆虫食は終了時間を待たずになくなってしまいました(写真1と2)。私の庭で獲れた蜂の子(第11号参照)も井内先生(写真3)がメニューに加えてくれました。なお、来年はもっと蜂の巣が大きくなってから収獲してほしいという要望がありましたが、命がけの作業になりそうなので丁重にお断りしました。他にも、光るカイコの繭(第2号参照)と昆虫細胞(第6号参照)や、竹松先生に提供いただいた外国産の大型ゴキブリの展示も好評で、家で飼育したいとゴキブリを持ち帰るお子様も多数おられました。関係者の皆様、一日お疲れ様でした。

 

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10月10~11日 全国農学系学部長会議

今年の秋の全国会議は山口大学の農学部と共同獣医学部が当番校を務め、湯田温泉のホテルニュータナカで開催しました。両学部の事務職員の方々がしっかりと準備をしてくださったので、私は議長としてひたすら進行メモに従って会議を時間通りに進めることに努め、二日間の日程を無事乗り切ることができました。農学部の山田先生には、これまでの中高温微生物研究の成果と今後の展望についての特別講演で、会議を盛り上げていただきました。1日目の会議終了後の情報交換会では、春の全国会議の挨拶(第11号参照)で予告した地酒とふぐを用意したところ、参加者の皆様に大いに満足いただいたようで、「来年も山口で」という冗談発言をされる方もおられました。実のところ、超大型の台風19号が日本に向かって北上中で、開催日が一日でも遅かったら、多くの方が帰れなくなるところでした。会議は間一髪セーフでしたが、その後の台風による各地での被害を思うと、無邪気に喜んでいられない気分です。会議終了後の18日には、佐藤共同獣医学部長とともに、裏方として会議を成功に導いて下さった事務職員の方々を招いて、ささやかながらお礼の気持ちを込めてFAVOで慰労会を開きました。

 

 

 

月刊農学部長 第13号(2019年9月)

 

9月28日 彼岸花

後期授業開始直前の週末に床屋に行きました。暑さ寒さも彼岸までといいますが、彼岸を過ぎてもうすぐ10月だというのに気温が30℃まで上昇したので、タンスの奥から一度しまった半袖シャツを引き出し、着用してでかけました。床屋からの帰り道、九田川沿いに咲き乱れる真っ赤な彼岸花を眺めながら歩いていると、真っ白な彼岸花がポツンと咲いているのに気がつきました。彼岸花はほとんど3倍体なので、赤い花が突然変異で白くなる可能性は非常に低いと思われます。私が不思議そうに眺めて写真(写真4)を撮っていると、川沿いにお住いの方が「実はこれは私が植えたのです。」と種明かしをしてくれました。ちなみに、彼岸花はもともと中国原産で、稲作伝来の時にいっしょに持ち込まれたと考えられており、白い彼岸花は、赤い彼岸花(2倍体)と黄色いショウキズイセンの自然交雑で生まれたと言われています。次の彼岸も床屋に行けばこの白い彼岸花を眺めることができそうです。なお、この日は、ワールドカップ・ラグビーで日本と白のジャージ)がアイルランドのジャージ)に歴史的勝利を収めました。

 

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9月26日 FAVOプレオープン

農学部前に建築中だった新しい福利厚生施設FAVOが、いよいよ10月1日にグランドオープンするのに先立ち、プレオープンの招待券をもらったので、見物に行ってきました。2階建ての1階はレストランやベーカリーなどの飲食スペースで、2階には書店やワークショップルームなどがあります。きっと、これから学生たちで大いに賑わうことになるでしょう。招待券と引き換えに1、200円分の購入に使えるICカードがもらえたので、研究室の学生へのお土産にパンを1、200円分買うことにしました。パンを選びながら値段を暗算で計算していると、途中から計算が怪しくなりましたが、おそるおそる選んだパン8個(写真3)をレジに持っていくと合計1,196円でした。「うまく買いましたね。」とレジ係の方に褒められて(?)、気分を良くして研究室に戻り、学生たちとおいしくいただきました。

 

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9月20日 中国・四国地区農学系学部長会議

今年は島根大学が当番校(昨年は山口大学でした。第4号参照)を務め、松江で開催されました。大学院進学者の確保や教員人事凍結への対応について、各大学の状況や取組みが紹介され、同じような問題を抱えつつ、しっかり教育・研究を推進していかなければならないという共通認識を深め、2時間の会議が終わりました。会議終了後、情報交換会では島根大学のオリジナル焼酎「神在(かみあり)の里」と収穫したばかりのシャインマスカットが振舞われ、どちらも大変おいしかったです。松江と山口は、特急で片道3時間半、往復7時間かかるので、夜は松江に1泊することになりました。翌日の土曜日は移動だけなので、少し足を伸ばして安来の「足立美術館」を見物することにしました。接近中の台風17号の影響でときどき小雨が降りましたが、2003年から16年連続で日本一に選ばれている庭園(写真1と2)と横山大観コレクションを始めとするすばらしい日本画を堪能し、無事帰途につきました。

 

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月刊農学部長 第12号(2019年8月)

 

8月31日 全国農学系学部長会議役員会

 10月に山口で共同獣医学部と共同開催する第141回全国農学系学部長会議の当番校学部長として、東京大学農学部で開催された役員会に福岡事務長と出席し、会議日程(案)を説明してきました。山口大学が当番校になるのは3回目で、1回目は昭和36年(58年前)、2回目は平成3年(28年前)なので、だいたい30年周期で回ってくるようです。その周期と私の学部長の任期が重なったのは単なる偶然ですが、30年後再び山口大学が当番校になるとしたら、その時農学部長を務めるのは、現在35歳以下の教員ということになり、これから採用される若手教員の可能性も高そうです。実際、私も28年前にはまだ山口大学にはおりませんでした。それはさておき、いよいよこれから開催に向けて本格的に準備開始です。

 

8月10日 オープンキャンパス

令和元年の農学部オープンキャンパスには、昨年同様、多くの高校生とその保護者の方が訪れ、模擬授業、模擬実験、施設見学などの企画に参加いただきました(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2019/08/-vol4.html)。展示や相談コーナーのあるインフォメーションも盛況で、用意した試食用のパンやスイーツは終了前に全てなくなってしまいました。今年は、暑さ対策としてミストファンを購入し、農学部玄関に設置したので、例年よりも涼しい風とともに心地よく来場いただけたのではないかと思います。農学部説明会冒頭の学部長挨拶では、「農学部は人の役に立つ生き物を育て、同じように社会に貢献できる人材として学生を大切に育てる学部です。」というメッセージを4年間伝えてきましたが、今回の参加者のアンケートの中に「子供達1人1人の個性を大切に育ててくださっている大学に、ぜひ自分の子供も進学してほしいと思いました。」という保護者の方の感想を見つけました。入学を心よりお待ちしております。

 

8月4日 運転免許更新

5年ぶりの運転免許更新時期になったので、日曜日の休みを利用して、小郡の山口県総合交通センターで手続きをしました。免許を取得したのは大学3年で、ちょうど40年前になります。きっかけは、農場実習でトラクターに乗って楽しかったからという単純な理由でした。当時の農学部の同級生の多くはすでに運転免許を取得済みで、トラクターはブレーキではなくクラッチを切って停止させることや、ハンドルではなく左右の独立ブレーキを踏んで回転するといった、自動車とトラクターの操縦法の違いに戸惑っていましたが、いきなりトラクターに乗った私は、逆にその後の教習所での自動車の運転で戸惑うことになりました。免許取得後、私の移動様式は、鉄道から車に大きくシフトしました。大学院時代(写真左、最初の愛車となった三菱・ミラージュ)は、北は盛岡、西は福岡までと遠方の学会にはほとんど車で出かけました。就職後、在外研究員としてカナダのモントリオールに1年間滞在した時(写真右、中古車ながら雪道にも強かったマーキュリー・トパーズ)は、東は大西洋、西はナイアガラ、南は国境を越えてボストンまで週末のドライブを満喫しました。その後は、ガソリンの値上がりに、仕事疲れと体力的衰えが加わり、長距離運転の頻度は低下の一途です(温室効果ガス削減には貢献?)。今回の更新では、無事故無違反により優良運転者免許証(いわゆるゴールド免許)が交付されましたが、受取る前の講習では、高齢者(70歳以上)の免許更新に関する最近の道路交通法の改正について説明がありました。次々回の免許更新では私も高齢者となります。自動運転技術の進歩にもよりますが、おそらくその頃までに、免許の自主返納時期を考えることになるでしょう。

 

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月刊農学部長 第11号(2019年4~7月)

 

多忙のため休刊しておりましたところ、次号はいつ発刊されるのかという問い合わせがありました。知らないうちに読者が増えていたようで、ちょっとテンションが上がりました。それでは、お待ちかね?の第11号(4月から7月までの4ヶ月合併号)をお届けいたします。

 

7月31日 草刈り

 オープンキャンパスが近づいたので、研究室の学生たちとともに恒例の桑園の草刈りを行いました。今年の梅雨明けはちょうど1週間前(24日)と例年よりだいぶ遅かったのですが、それ以降は連日猛暑で、この日も35℃近い炎天下、熱中症に気をつけながら伸び放題になっていた雑草と格闘しました。文字通りの熱闘後、クーラーの効いた研究室に戻り、みんなで冷えたスイカにかぶりついて、生き返りました。なお、還暦祝いで作業用のつなぎの色を青(月刊学部長第2号参照)から赤(写真)に変えました。ちなみに帽子は(第7号のネクタイも)カセサート大学農学部長からのプレゼント、しっかりジョイントしています。

 

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6月27日 ジョイント・ディグリー・プログラム設置認可

 山口大学とタイのカセサート大学の大学院修士課程に国際連携農学生命科学専攻を共同設置することが、大学設置・学校法人審議会での審査を経て文部科学省から認可されました。これにより、両大学から修士の学位を同時に取得できるジョイント・ディグリー・プログラムが、いよいよ来春からスタートすることになりました。このプログラムを立案し、カセサート大学との交渉にあたってこられた前学部長の山田先生をはじめ、山口大学とカセサート大学の多くの関係者の協力と支援に心から感謝しつつ、来春からプログラムが順調にスタートできるように準備を進め、新しい学部長に引き継いでいこうと気を引き締めました。

 

6月23日 スズメバチだっ!

 日曜日に久しぶりに庭木の剪定をしようとしたところ、枝にスズメバチの巣ができているのに気がつきました。まだ、巣はそれほど大きくはなっていなかったので、家に常備してある商売道具の捕虫網と殺虫剤を駆使して、なんとか成虫を追い払い、巣を解体しました。中には卵、幼虫、蛹とさまざまな発育段階のハチの子たちが育っており(写真左)、取り出して冷凍保存しておいたところ(写真右)、後日、昆虫食に造詣の深い農学部の井内先生が引き取ってくれました。今年の昆虫食試食会で新メニューを披露してくれるでしょうか?楽しみです。

 

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6月20日 附属農場内覧会

 大学の支援で附属農場の牛舎や実習棟などを施設改修できたので、学長・理事らを招いて、改修された施設の内覧会を行いました(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2019/06/post-125.html)。お昼休みということで、農場産小麦で作ったパンとラーメンも試食いただき、皆さんに喜んでいただけたようで、農場らしいお礼ができたのではないかと思います。梅雨時で雨天を心配していたのですが、農場長の竹松先生(自称晴れ女)の威力なのか、暑すぎるほどの晴天になり、無事内覧会を終えることができました。それにしても、新しい牛舎で牛の出産ショーまで見ることができるとは思いませんでした。

 

6月13日 ホタルの恋川

 梅雨入り直前の天気の良い夜に、研究室の学生とホタル鑑賞に出かけました。大学から車で1時間近くかけて日没直前に秋芳町青景地区を流れる恋川に到着しました。この場所は、10年以上前に農学部の高橋先生に「わくわく村ほたる見の会」に誘っていただいた時に初めて知ったのですが、それまで見たこともないようなたくさんのゲンジボタルが演じる光の饗宴に圧倒され以来、ほぼ毎年のように家族あるいは学生たちとホタルを見に訪れています。今回も、日が暮れてあたりが暗くなるとともに、川沿いの草むらや木々の間でホタルが次々と光り始め、やがて舞い上がって大集団を形成し、明滅リズムの同調が起こり、感動的な光の饗宴が目の前で繰り広げられました(写真にうまく撮れないのが残念)。約1時間ホタルに囲まれて忙しい日々を忘れて過ごし、大学に戻った時には夜9時を過ぎていました。ホタルには癒しの昆虫力があるようです。

 

6月6~7日 全国農学系部長会議

 春の全国農学系学部長会議が東京の学士会館で開催されました。令和になって最初のこの会議では、参加費の事前オンライン決済と全ての会議資料のPDF化が初めて導入され、これまでの受付デスク前で順番を待つ行列がなくなり、会議終了後宅急便で分厚い資料を送る必要もなくなりました。私たちが山口で開催する次回(秋)の会議でも、このシステムを踏襲していこうと事務長らと話し合いました。情報交換会(懇親会)では、酔いが回ってから次回開催の挨拶の順番がきたので、会議の日程などを伝えるのを忘れ、懇親会でのおもてなしの話題で盛り上げてしまいました。翌日の会議の最後に、次回の会議を共同開催する共同獣医学部長の佐藤先生から、私が伝え忘れたことも含めてしっかり挨拶して下さいました。ナイス・フォロー(和製英語だそうで、英語ではgood supportなどと言わないと通じないようです)。

 

5月1日 令和元年

 平成が終わり、令和元年がスタートしました。改元に伴い今年のゴールデンウィークは10連休になったので、父の33回忌と兄の13 回忌の墓参りのために東京に出かけてきました。父は大正〜昭和、兄は昭和〜平成と改元を1回経験していますが、私は昭和〜平成〜令和と改元を二度体験することになりました。私が小学生の頃は、明治生まれのご老人は身の回りにそれほど多くはなかったと思いますが、長寿国日本の令和生まれの小学生にとっては、私を含め昭和生まれの高齢者はどこにでもいる存在になることでしょう。そういう違いはあるものの、令和と昭和の日本は少し似たところがあるような気もします。東京オリンピック(昭和39年と令和2年)、大阪万博(昭和45年と令和7年)そして新幹線開業(昭和39年東海道と令和9年中央)と昭和生まれにとってデジャブ(déjà-vu)なイベントのオンパレードです。故人を偲びつつ、令和元年初日の新幹線のぞみに乗って山口に戻りました。

 

4月15日 中高温微生物研究センター開所式

 農学部では、中高温微生物研究を特色・強みの一つとしてミッションに掲げ、2009年に農学部附属の研究センターを発足させて推進してきましたが、2014年からは、共同獣医学部、工学部、理学部、医学部の研究者も加わって、全学的な研究拠点の一つとなり、国内外との共同研究活動を展開してきました。研究センターといっても、これまでは、それぞれの研究者の連携によるバーチャルな組織でしたが、昨年からボイラー棟の改修工事が始まり、ついに念願の中高温微生物研究センター棟が完成しました。開所式には、学内外から多くの関係者が出席され、これからの中高温微生物研究に対する関心の高さが感じられました。(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/weeklynews/_7735/_7789.html)。農学部を代表して私もテープカットに加わりましたが、初めてのことなので、切った後でリボンをうまくつかめずに落としてしまうという失態を演じてしまいました(関係者の皆様、ごめんなさい)。それはさておき、中高温微生物研究センターが全国共同利用施設を目指して発展していく可能性を大いに期待させてくれた開所式でした。

 

4月4~5日 農学部新入生オリエンテーション

 本年度は農学部長の任期(通算4年)の最終年度で、新入生を農学部長として迎えるのも最後となりました。昨年度までと同様、充実した大学生活を過ごしてもらいたいという思いで挨拶いたしました(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2019/04/post-121.html)。また、今年は新入生のうち13名の修学指導を担当するローテーションが巡ってきました。この中から私の研究室で卒業研究を行うことになる学生が現れるかも知れないという楽しみと、5年後に定年を迎えるので大学院まではお付き合いできないなという哀愁の入り混じった複雑な心境の新学期となりました。

 

 

 

月刊農学部長 第10号(2019年3月)

 

3月29日 研究室のお花見

 桜が咲き始め、暖かく良い天気だったので、午前中に研究室の学生たちと恒例の桑園の除草を行いました。桜がほぼ満開だった昨年と比べて(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2018/07/post-107.html)、今年は4日早かったので、3分〜5分咲きというところでしたが、みんなで昼食の弁当を食べながらお花見を楽しみました。今年も満開の桜が新入生を迎えてくれそうです。

 

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3月22日 銀婚式

 結婚記念日はイギリスが発祥の地で、結婚して5年(木婚式)、15年(水晶婚式)、25年(銀婚式)、50年(金婚式)、60年(ダイヤモンド婚式)を節目として、お祝いをしていたそうです。日本では明治27年に、明治天皇の銀婚式を「大婚二十五年祝典」として盛大にお祝いしたことがきっかけとなって、結婚記念日が広まったようです。婚姻届提出日と結婚式挙行日のどちらを記念日とするかは定まっていないようですが、前者にしたがうと、私たち夫婦にとってはこの日が銀婚式となります。当日は、たまたま農学部と共同獣医学部の事務歓送迎会(事務の皆さん、いつも本当にお世話になっております)がありましたので、後日、記念にお揃いのタブレット端末(シルバー)を買ってお祝いをしました。それにしても、金婚式まではまだ道半ばです。

 

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3月20日 卒業式・修了式

3月21日 学位授与式

 大学院創成科学研究科の設置から3年間が経過し、ライフサイエンス系専攻(博士後期課程)の初代修了者らの学位授与式が大学会館で行われました(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/topics/2018/_7732.html)。また、2日後には、維新公園のスポーツ文化センターにおいて学部および大学院(修士課程)の卒業式・修了式が行われました(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/topics/2018/_7734.html)。社会人として巣立っていく卒業生・修了生および大学院への進学生たちのさらなる活躍と成長を期待して、それぞれの式に臨みました。是非、後輩たちが憧れ、勇気づけられるような存在となられるよう、誇りと思いやりを忘れずにそれぞれの人生を歩んで下さい。
 
 
 
月刊農学部長 第9号(2019年2月)

 

2月27日 昆虫(食)に親しむ会

 私が代表を務める山口大学研究推進体「新規昆虫能力の探索とその利用技術開発」では、メンバーの井内先生(農学部准教授)の研究室が中心となって、数年前から昆虫食の試食会を学内で開催しています。今回はその6回目でしたが、会場の第二学生食堂「きらら」に、教員、職員、学生、大学院生らが総勢50名以上集まり、テレビ局(https://www.yab.co.jp/news/34835)も取材に訪れ、大変賑わった雰囲気の中で昆虫食を楽しんでもらうことができました。試食に先立って、井内先生から昆虫食の優れた機能性に関する研究成果が紹介され、さらに、メンバーの内海先生(農学部教授)が高校向け「昆虫細胞 遺伝子導入・遺伝子発現観察キット」(詳しくは、月刊農学部長第6号をご覧ください)のデモを行いましたので、昆虫食だけでなく、研究推進体の活動に対する理解も深めていただけたのではないかと思います。ところで、最近、地球上の昆虫がカタストロフ的レベルで減少しているという科学的調査結果がシドニー大学のFrancisco Sánchez-Bayo氏らによって報告されました。全ての昆虫というわけではなく、約40%の昆虫種ということですが、生息環境の喪失、殺虫剤、気候変動などが原因ということです。この傾向が続くと100年後には地球上から昆虫がいなくなるかもしれないそうです。もしそんなことになれば、昆虫食を楽しむことができないどころか、昆虫を食べる鳥たちや、昆虫に花粉を運んでもらう植物たちも絶滅の危機に直面するでしょう。2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成は、まさにこうした事態を招かないために全世界が取り組まなければならない課題だと思います。ささやかな昆虫食から、そんなメッセージを感じたのはわたしだけでしょうか?

 

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昆虫食・コオロギのポップコーン(左)とセミチリ(右)

 

2月5日 会議 → 会議 → 会議

 会議が二つ連続する日は珍しくありませんが、この日は三つ、しかも全て別の場所への移動を伴い、大忙しでした。まずは、大学の吉田キャンパスで午前10時から昼まで定例の部局長会議がありました。1月の会議をインフルエンザで欠席した私にとって、今年最初の部局長会議となりました。昼食後、山口市内の翠山荘に移動して、13時から14時まで、この日発足することになった「やまぐちバイオ関連産業推進協議会」の幹事会に出席しました。山口県のバイオ関連産業の育成・集積を図るために産学公が連携して取組む体制ができたことは、さまざまなバイオ研究の成果創出と人材育成を行っている農学部にとって、願ってもない社会貢献のチャンスなので、積極的に協力していきたいという意向を挨拶の中で述べさせていただきました。そして、最後に宇部市の常盤キャンパスに移動して、16時から17時30分まで大学院創成科学研究科の教育評議会に出席し、大学院教育について、学外委員との意見交換を行いました。3年前に理学、工学、農学の大学院を統合して創設された創成科学研究科の現状と今後の課題について、さまざまな分野の企業および行政の立場からの意見を伺うことができたことは大変有意義だったと思います。その後、懇親会があり、吉田キャンパスに戻ったのは20時ごろでした。A Day In The (Dean’s) Lifeでした。

 

 

 

月刊農学部長 第8号(2019年1月)

 

1月21日 出前講義

 山口大学では、教員が高校に出向いて専門分野の内容をわかりやすく紹介し、大学への興味を深めてもらおうと出前講義を実施しています。各教員は、あらかじめ講義のタイトルと概要を地域未来創成センターのホームページ(http://www.ext.yamaguchi-u.ac.jp/chiiki/demaekougi.html)に登録・公開し、それを見た高校からの依頼があれば、日程調整後出動することになります。私は、「昆虫のバイオテクノロジー 〜昆虫に学ぶ〜」というタイトルで登録しており、本年度は県立防府高校から2年生対象の講義依頼がありました。前日は大学センター入試だったこともあり、この出前講義が山口大学農学部への進学を考えるきっかけになればという気持ちで臨みました。専門的な話ばかりでは難解で退屈すると思い、近年世界的に見直されている「昆虫食」の話題を紹介したり、遺伝子組換えカイコの蛍光繭(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2018/07/20187.html)や、昨年開催された国立科学博物館の特別展「昆虫」で購入したTシャツを持参して、講義の合間に見てもらいました。その甲斐あってか、多くの生徒さんは最後まで熱心に聞いてくれたようで、講義終了後に色々な質問が寄せられ、後日、印象に残った講義内容や興味を持ったことなどが書かれた感想文が届きました。大学の講義でも、最後に学生による授業評価アンケートを実施しますが、自由記述欄に感想を書いてくれる学生はほとんどいないので、新鮮な気持ちで読ませてもらいました。

 

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1月5日 A型インフルエンザ

 東京で正月を過ごし、3日の飛行機で山口に戻って仕事を再開した矢先に、インフルエンザを発症してしまいました。前年11月にワクチンを打っていたおかげか、発熱はひどくなかったのですが、腰痛がひどく、寝返りできない状態が数日続きました。3日の飛行機で、通路を挟んで隣に乗り合わせた女性客が、滑走路に向かう途中の機内で具合が悪くなり、自力では座席から立ち上がれず、客室乗務員に降りたたみ式の車椅子に乗せられて降機したので、ひょっとしたらその方が感染源だったのかもしれません。しかし、同じ飛行機に乗っていた私の家族は誰もインフルエンザを発症しなかったので、断定はできません。いずれにしても、新年早々、大学に出勤できなくなり、担当する講義と実験を休講にせざるを得ませんでした。その後、日本におけるインフルエンザの患者数は、増加の一途を辿り、1月21〜27日の1週間で220万人を越え、過去最高記録を更新したそうですが、こんな流行には乗りたくなかったです。

 

 

月刊農学部長 第7号(2018年12月)

 

12月3日 ジョイント・ディグリー・プログラム調印式

 山口大学とタイのカセサート大学の大学院国際連携農学生命科学専攻(修士課程)(ジョイント・ディグリー・プログラム)の共同開設に関する協定書への両学長による調印式が行われました。当初、2019年4月開設を想定して、2月2日にカセサート大学において一度目の調印式が行われました(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/topics/2017/_6774.html)が、諸事情により開設予定時期が2020年4月に延期されたため、今回、カセサート大学の学長らを山口にお招きして二度目の調印式を行うことになりました。農学部長として二度の調印式に同席した私は、改めて山口大学初のジョイント・ディグリー・プログラムの実現のために尽力しようという思いを強くしました。調印式後、カセサート大学の学長ならびに同行された農学部と理学部の学部長らと昼食および夕食を共にし、その思いを伝えつつ交流を深めました。

 この国際連携農学生命科学専攻では、山口大学の農学分野とカセサート大学の農学および理学分野の20年以上にわたる長い教育・研究交流の実績を基盤として、両大学の関連分野における特色と強みを生かし、熱帯性環境に棲息する微生物や植物を活用できる、国際感覚を持った高度専門職業人を育成することを目的としており、2年間の課程修了時に両大学から修士の学位を取得できます。

 グローバルな舞台で活躍するプログラム修了生を思い描きながら、まずは、3月の文部科学省への提出期限に向けて、設置申請書類の完成を急がなければなりません。年越しの宿題になりそうです。

 

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月刊農学部長 第6号(2018年11月)

 

11月17日 キャリアデザインⅡ

創成科学研究科の博士後期課程の院生向け選択科目「キャリアデザインII」はオムニバス形式の授業で、この日が担当だった私は、「私の研究戦略論 --- 残り物には福がある ---」というタイトルで研究経歴を紹介しました。常盤キャンパスから聴講に来た2名の工学系大学院生にとっては、一貫してカイコを中心とした昆虫遺伝学およびバイオテクノロジー研究を行ってきた私の話は、全くの異分野で、おそらく二度と聞くことはないと思いますが、少なくとも、私が好きな研究を続けてきたことに対して、うらやましさを感じたようです。養蚕業の衰退により、日本の農業の中では残り物となってしまったカイコですが、私には楽しい研究人生(福)を与えてくれました。実際には研究に苦労や失敗はつきものですが、その根本に楽しさや好奇心がなければ続きません。そんな私の研究姿勢が少しは伝えられたかなと思っています。

講義を終えて帰宅後、夕食時にテレビを付けるとNHKのブラタモリで「富良野・美瑛の合言葉 残りモノには福がある」を放送中でした。単なる偶然ですが、驚きました。

 

11月14日 画期的な高校・中学校向け理科教材キット開発の記者発表

細胞に遺伝子(DNA)を導入してその働きを調べる実験は、現代生物学における基礎的研究手法であり、世界中の大学及び研究機関で日常的に行われていますが、高校あるいは中学校の教育現場で、このような実験を手軽に行うことは困難でした。農学部では、2013年から4年間、高校及び中学校の教諭を対象にしたサイエンスリーダーズキャンプ事業「ミクロな細胞からマクロな生態系に至る可視化技術と解析手法」(科学技術振興機構主催)を実施してきました(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2016/08/28-1.html)が、そのフォローアップとして内海教授が開発した高校・中学校向け「昆虫細胞・遺伝子導入・遺伝子発現観察遺伝子キット」(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/weeklynews/2018/_7481.html)が、有限会社山口ティー・エル・オーから低価格で販売されることになりました。このキットを用いた実験は、室温で培養可能な昆虫(カイコ)由来の培養細胞を使用するため、遺伝子組換え実験の規制対象外であり、高校及び中学校の理科実験室で特殊な培養装置等を用いずに実施可能です。しかも、キットに含まれるLEDランプとフィルターを使えば、細胞内に導入した遺伝子から生産されるタンパク質の緑色と赤色の蛍光を、通常の光学顕微鏡で観察できます(高価な蛍光顕微鏡不要)。また、このキットを使うことにより、青色LEDと緑色蛍光タンパク質というノーベル賞を受賞された日本人研究者の成果も体験できます。多くの高校・中学校での理科教育に利用され、将来の日本のバイオサイエンス分野を支える若者の育成に役立つことを期待して記者会見に臨みました。なお、私にとっては、これまで私の研究室で昆虫のバイオテクノロジー研究に使用してきたカイコの細胞と遺伝子発現ベクターが、内海教授によって高校・中学校向けの教材に見事に転用され、想定外の喜びとなりました。記者発表後、すぐに2件の注文があったそうです。11月28日〜30日に開催された第41回日本分子生物学会年会(パシフィコ横浜)でも、ナショナルバイオリソースのカイコの展示ブースにキットの見本を置いて宣伝させていただきました。 

 

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月刊農学部長 第5号(2018年10月)

 

10月25日 山口ゆめ花博

働き方改革法案の成立により、来年度より5日以上の有給休暇取得が義務化されます。これまで、ほとんど年休を使用してきませんでしたが、もはやそれは許されなくなります。今年も還暦を迎えた誕生日に1日消化しただけです。この日はたまたま会議も授業もないので、来年の予行演習ということで、思い切って年休を取り、もうすぐ終了を迎える山口ゆめ花博(9月14日〜11月4日)にでかけました。平日にもかかわらず、会場は想像以上に賑わっていました。週末は車が大渋滞して混雑すると聞いていましたので、年休を取らなかったらおそらく来ることはなかったでしょう。いろいろな花が植えられた会場をゆっくりと見物し、屋台のホットドッグとコーヒーで昼食を取り、日本一長い木のブランコに揺られ、すっかり満喫してから、いざ帰ろうと駐車場に向かったところ、広い駐車場のどこに自分の車を止めたかわからなくなりました。あやしげな記憶をたよりになんとか探し当てましたが、ちょっとあせりました。この翌日、来場者100万人を達成したそうですが、それはさておき、今年度、私はあと何日年休を取れるでしょうか? 

 

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10月18~19日 全国農学系学部長会議

年に2回開催される全国農学系学部長会議(春は東京、秋は地方で持ち回り)が北海道の函館で開催されました。文科省(高等教育局)と農水省(農林水産技術会議)からの来賓の挨拶があり、それぞれ第4次産業革命、Society5。0など急激な社会の変化に対応できる人材育成と、ロボット・AI・IoT等の先端技術を活用したスマート農業の社会実装に関する話題提供がありました。今後、大学における農学教育・研究も、こうした方向にうまく対応させてゆくことが重要になるでしょう。会議では、18歳人口の減少を見据えた受験生獲得に向けた広報活動や、博士人材活用の場の拡大など、全国の農学系学部が直面するさまざまな課題について、議論を通じて認識を共有あるいは深めることができました。来年の秋は、山口大学農学部と共同獣医学部が合同で、湯田温泉で開催することになりました。会議の最後に、両学部を代表して当番校の挨拶をしましたが、前日の情報交換会(懇親会)で「春は質素に、秋は豪華に」という問題発言?があったので、「皆さんを心よりお迎えしますが、過度な期待はしないで下さい」とけん制球を投げておきました。

 

10月7日 九田川

3連休の二日目、前日は日本海側を通過した台風25号の影響で天気が悪く、強い風が吹いていましたが、今日はおだやかで午後に晴れ間が見えたので、気晴らしに九田川沿いを散歩することにしました。たまたま平川小学校の横を通りかかったところ、川沿いに比較的最近設置された「九田川に棲む小生物」なる看板が目に止まりました。普段は気にせず対岸を車で通り過ぎていましたが、じっくり眺めると小生物24種類のうち19種類が昆虫で、そのうち3種類(ガ、カメムシ、キリギリス)はどうみても間違いです。昆虫学者の端くれとしてちょっと気になりましたが、これほど明らかな間違いであれば、きっと虫好きの子供たちを含め多くの方々がすでに気付いているにちがいありません。もし修正することになったら、ついでにタイトルも「九田川周辺に棲む小生物」にした方がいいなあと思いながら、帰路につきました。

 

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月刊農学部長 第4号(2018年9月)

 

9月21日 中国・四国地区農学系学部長会議

今年は農学部と共同獣医学部が合同で当番校を務め、中国・四国地区12大学の農学系学部の学部長(水産大学校は校長)と事務長等が湯田温泉のセントコア山口に集まって開催されました。今後の中国・四国地区大学間連携として、大学間の学生交流に役立っているフィールド演習の継続・充実、遠隔システムを利用した大学間単位互換授業の課題、受験生獲得に向けた広報の共同実施の可能性などが協議されました。高知大学の尾形学部長が提案したキャッチフレーズ「農学を学ぶなら中四国で!」は、結構いけると思いました。会議後の情報交換会では、今回新メンバーとして加わった岡山東京理科大学獣医学部(加計学園)の吉川学部長からの挨拶があり、出席者の皆さんに山口大学オリジナル日本酒「長州学舎」(大吟醸よりも純米の方が好評でした)を堪能いただきながら交流を深めました。

 

9月3日 徳島県農林水産総合技術支援センター視察

山口県からの依頼で、7月から「農林業の知と技の拠点」形成に係る外部検討委員会の委員長を務めており、山口県の農林業関係の試験場と農業大学校の統合について議論しています。会議終了のたびに報道陣に取り囲まれ、この問題に対する関心の高さに驚きつつ、なれないマスコミ対応に四苦八苦しておりますが、この日は先進事例の視察ということで、委員会のメンバーらとともに、3年前に統合を行った徳島県のセンターを日帰りで訪問しました。統合による教育および研究上のメリットや新たな取組みについて説明いただき、大変参考になりました。帰り際、このセンターの研究員としてスマート農業を担当している卒業生(山本晴彦教授の研究室で博士号を取られた原田陽子さん)にお会いすることもできました。思わぬところで卒業生が活躍しているのを見かけると嬉しくなります。さて、この視察は、もともと8月23日に行う予定でしたが、淡路島の風車を倒した台風20号の接近で延期され、この日も翌日に関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突して空港が孤立状態になるなど、近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風21号が接近中でした。なんとか直前に視察を無事終えて山口に帰ることができましたが、どうやら台風の当たり年のようです。

 

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9月1日 三本の矢会

山口大学の理、工、農、3学部の学部長が、年に3回程度、情報交換しながら親睦を深める「三本の矢会」が、新山口駅前のビヤホールで開催されました。今回は、 3学部の事務長も交えた飲み会となりました。この日の話題と3学部長のスリーショットは、理学部長のつぶやき(http://www.sci.yamaguchi-u.ac.jp/sci/tweet/2018)でご覧いただけます。連日の猛暑が一段落して気が緩んだせいか、4日後に人間ドックがあるのを忘れ、ちょっと飲みすぎてしまいましたが、「ちょっと中性脂肪が多め(正常範囲内)ですね。宴会でもあったのですか?」と検診後の保健指導で指摘された以外は、特に問題はありませんでした。健康第一。

 
 
 

月刊農学部長 第3号(2018年8月)

 

8月17日 還暦

今年の干支(えと)は戊戌(ぼじゅつ、つちのえいぬ)、十干(甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸)と十二支(子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥)のランダムな組合せは10×12=120通りありますが、実際には偶数番同士か奇数番同士の60通り(10と12の最小公倍数)しかできないため、干支は60年周期でもとに戻り、60年前の戊戌に生まれた私にとって還暦の年となりました。中国から伝わった還暦が長寿の祝いとして日本に定着したのは室町時代からのようですが、平均寿命が延び、老齢年金の支給開始が65歳となり、人生100年時代構想が盛んに議論されている日本では、もはや還暦は人生の節目ではなく、後半の単なる通過点になってしまった気がします。私の恩師(故吉武成美先生)は、ちょうど私の大学院修了(博士号取得)と同時期に、60歳で定年退官されましたが、その7年前に私の研究室配属が決まったときには、すでに研究生活から足を洗い、実質的な研究室の運営は助教授と助手に任せ、教授として専ら講義(座学)と専門書の執筆に専念するという、今から考えると優雅な学者生活を送って引退を迎えられたように思います。あれから約30年経って60歳を迎えた私は、自ら研究室の運営と学生の指導を行い、講義は座学だけでなく実験も担当し、外部資金獲得を目指して研究を続け、学部長として学内外の会議に出席し、定年まであと5年あります。世の中とともに大学もずいぶん変わったものだと感慨に耽りつつ、学生たちと一緒に好きな研究を続けられることに幸せを感じながら、家族と還暦の誕生日を祝いました。

 

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8月4日 オープンキャンパス

8月3日 オープンセミナー

山口大学吉田キャンパスで開催された農学部オープンキャンパス(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2018/08/2018-1.html)には、35℃越えの猛暑にもかかわらず、説明会ならびに模擬授業、模擬実験、農場・植物工場見学などの企画に多くの高校生と保護者の方々がお集まりいただきました。参加者からは農学部の教育研究についてさまざまな質問が寄せられ、対応した農学部スタッフと学生にとってやりがいのある熱い1日となりました。また、その前日には、農学部オープンセミナー「土の中の水を知るー作物生育を左右する土の乾き具合」が開催され、参加した高校生たちが坂口助教の指導を受けながら熱心に実験に取り組んでいました(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2018/08/post-109.html)。これらの実体験を通じて、山口大学農学部に興味を持ち、進学を希望される高校生が一人でも多く増えることを期待しています。なお、前号で紹介した遺伝子組み換えカイコの繭は、オープンキャンパスおよびオープンセミナーに参加された多くの方々に見てもらうことができました。

 

 

 

月刊農学部長 第2号(2018年7月)

 

7月30日 草刈り

オープンキャンパスを週末に控え、大学構内を綺麗にして高校生を迎えるために、研究室の学生たち(25日に研究室に配属されたばかりの3年生も参加)とともに夏草の生い茂った桑園の草刈りを行いました。前日は台風12号が東から西へと異例のコースで山口県を横切って行きましたが、風雨ともに大したことはなく、台風一過の炎天下、予定通り作業を終えました。その後でみんなで食べたみずみずしいスイカの味は格別でした。

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7月13日 学生実験

私が担当する農学部の応用昆虫学実験では、昆虫の生理生化学およびバイオテクノロジーの実験を行っています。今年は、初めての試みとして、つくばの農研機構からクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを取り寄せました。7月6日の実験日にGFPを糸と一緒に吐き出して繭を作るカイコを学生に見せるつもりでしたが、手違いで繭を作る時期が5日ほど遅れてしまいました。「しょうがない、後日学生に集まってもらおう。」と思って実験当日を迎えたところ、大雨警報が発令され休講となり、13日の補講日にGFPで緑に光る繭を無事見せることができました。写真には、その後羽化した成虫も写っていますが、この遺伝子組換えカイコにはGFP遺伝子以外にサンゴ由来の赤色蛍光タンパク質(DsRed)遺伝子も組み込まれているので、DsRed遺伝子を発現する複眼が赤く光ります。この日本で開発された遺伝子組換えカイコ作製技術は、カイコの役割を、衰退する生糸生産から医薬・獣医薬などの付加価値の高い有用タンパク質生産、すなわち「昆虫工場」へと大きく転換するバイオテクノロジーとして注目されています。このカイコの繭は8月4日のオープンキャンパスで農学部のインフォメーションに展示して、農学に興味のある多くの高校生にも見てもらおうと思っています。

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月刊農学部長 創刊号(2018年4〜6月)

 

農学部ホームページ委員会から、「学部長のコーナーを用意するので、定期的に内容を更新して下さい。」という依頼がありました。そこで、「月刊農学部長」というタイトルで毎月いくつかの大学での出来事を、学部長目線で紹介していきたいと思います。今回の創刊号では、4月から6月までの3ヶ月分を時間をさかのぼってまとめてみました。

 

6月15日 薩長同盟酒プロジェクト記者会見

本年は明治維新150周年ということで、山口市、鹿児島市、鹿児島大学農学部などと、地域の食・農・観光分野の振興を目的とした連携の一環として、薩長同盟酒プロジェクトに取り組んでいます。幕末に坂本龍馬の仲介により長州から薩摩に米が運ばれたことに因み、附属農場の荒木准教授と研究室の学生が、鹿児島大学農学部の学生らと一緒に山口県産の酒米「山田錦」を、昨年、鹿児島市内で栽培育成し、収穫した酒米は山口市内の金光酒造で醸造され、日本酒「薩長同盟」が完成しました。その記者会見は、2月22日に鹿児島大学の農学部長をお呼びして山口大学で行いました(http://www.yamaguchi-u.ac.jp/info/2018.html)が、今回は、鹿児島大学オリジナル焼酎「薩摩熱徒」の完成ならびに「薩摩熱徒」と山口大学オリジナル日本酒「長州学舎」のコラボ酒セットの販売に関する鹿児島大学での記者会見に出席しました(http://www.agr.yamaguchi-u.ac.jp/news/2018/06/post-106.html)。これを機会に、お酒以外の分野に鹿児島大学農学部とのコラボを拡大するのも面白そうです。

 

6月4日 エフエム山口の番組収録

「大人ウォーク〜今宵は山大〜」という番組の収録があり、主に農学部とその魅力についてお話しさせていただきました。特に台本はなく、聞き手の志穂さんからの質問に答えるうちに終わってしまったという感じでした。6月22日の放送を聞いてみたところ、「あの〜」というフレーズが多いのに我ながら驚きました。一般に、「え~と」や「あの~」が多いのは、言葉を探している、練習不足、沈黙を恐れているなどの理由が考えられるそうですが、理由はさておき、せっかくの農学部広報のチャンスだったのでちょっと残念でした(反省)

 

5月6日 蚕(かいこ)の掃立(はきたて)

卵から孵化したばかりの蚕に桑の葉を与えることを掃立といいます。研究室では学生実験用蚕の越冬卵を5月の連休前に冷蔵庫から出庫して、連休後半に孵化した幼虫の掃立を行うのが年中行事になっています。明治維新後の近代日本に富と繁栄をもたらしてくれた蚕たちは、化学繊維の開発と生産コストの高騰により、日本の農業史から消えつつありますが、一方で新たな用途創出のための研究開発が行われていますので、いずれご紹介したいと思っています。

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4月4〜5日 農学部新入生および2年生オリエンテーション

農学部長として3回目の新入生を迎え、充実した大学生活を過ごしてもらいたいという思いで挨拶いたしました。これから大学ではいろいろ新しい出会いや刺激的な体験があるので、きっとほとんど忘れられてしまうことでしょう。そういうわけで、学部2年生オリエンテーションの挨拶でも、同じ内容をもう一度話すことにしました。いったい何人の学生が覚えていてくれたでしょうか?

 

4月2日 研究室のお花見

研究室の学生たちと午前中に桑園の除草を行い、お昼には大学構内の満開の桜の下で弁当を食べながらお花見をしました。昨年より桜のピークが1週間ほど早まり、翌日は満開の桜に祝福された入学式になりました。

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