「月刊農学部長」第17号(2020年1月)

月刊農学部長 第17号(2020年1月)

 

月25日 最後の三本の夜会

三本の夜会は、理・工・農3学部長の親睦を深めるために年に数回開催されますが、今回は野崎理学部長のお世話で湯田温泉街での開催となりました。3月末で学部長任期満了となる私にとっては、これが最後の夜会となるので、引継ぎと顔合わせということで次期農学部長候補者(Coming Soon!)にも同席いただきました。私が4年前に学部長に就任した時は、理・工・農の大学院統合で創成科学研究科が誕生した直後で、共同で取り組むべき課題(しかも前例なし)が次から次へと出てきて対応に手間取りましたが、最初の修了生を輩出する頃には概ね軌道に乗り、今ではすっかり落ち着いたように思います。とはいうものの、共同で取り組むべき課題は、全学的なデータサイエンス専門教育の導入(中心となって推進されている松野前理学部長がこの日は特別参加)を含め尽きることはなさそうです。三本の夜会はこれからも3学部長にとって重要な情報交換の場となることでしょう。ところで、私は何代目の農学部長なのでしょうか?夜会の後、ふと気になったので、歴代農学部長を調べてみたところ、第22代(2回就任された方が二人おられるので実質20人目)でした(表1)。ただし、初代の学部長は初代学長が兼務されていたので、第2代の村山先生(専門は私と同じ昆虫学)が最初に学部長を務めた農学部教員ということになります・・・歴史に興味が出てきたのは歳をとった証拠でしょうか?

 

2020-1-1.jpg表1

 

月21日 NBRPカイコ運営委員会

わが国のライフサイエンス研究の基礎と基盤となるバイオリソースを整備するために国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が推進しているナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)では、2002年のプロジェクト開始以来5年ごとに各リソースの整備に対する評価と見直しなどが行われ、第4期(2017年〜)に入ってからは、30のリソースの中核的拠点整備が進行しています(https://www.amed.go.jp/content/000026730.pdf)。その中の一つであるカイコについては、第1期から九州大学が中心的拠点となって、リソースの整備を継続的に行ってきました。私は2018年から、このNBRPカイコの運営委員会の委員長を務めることになり、年に一回開催される委員会でリソース整備の進捗状況と課題について委員の方々(私を含めカイコを研究材料として利用している外部の研究者)と議論しております。かつては世界の約60%のシルクを日本が生産し、それに伴って日本国内には数多くのカイコ品種や突然変異系統が蓄積し、遺伝学、病理学、生理学、加工利用学などの研究に利用されてきました。その結果、安価な化学繊維の発明により衣料素材生産におけるカイコの産業的価値が大幅に低下した現在でも、研究用モデル昆虫としての学術的価値は失われていません。今回の運営委員会では、多くの研究者がカイコを利用し、昆虫学のみならず生命科学の新たな発見に役立てることができるようなリソースの充実・拡大に対する多くの要望や意見が出ました。また、今回は、九州大学の箱崎キャンパスから伊都キャンパスに移転間もないカイコバイオリソース研究施設で委員会が開催され、広々とした伊都キャンパスの真新しい飼育施設を見学することもできました。この新天地を拠点とするNBRPカイコの今後の新展開を期待しつつ、移転して博多駅からだいぶ遠くなったなと思いながら、日帰りで山口に帰還しました。