卒業生・修了生の皆さんへ

令和元年度山口大学農学部卒業生ならびに大学院創成科学研究科農学系専攻修了生の皆さん、ご卒業・ご修了おめでとうございます。COVID-19の大流行により、卒業式・修了式の中止という前代未聞の事態となりました。本来であれば一人一人に手渡すことができたはずの学位記、記念品、各種表彰状なども、進学者以外は原則郵送となってしまいました。この3月で学部長の任期を終える私にとって、皆さんは最後の卒業生・修了生であり、特に、卒業生の皆さんは、4年前に学部長に就任して入学式で挨拶した最初の新入生でもあるので、このまま挨拶をせずにお別れしてしまうのは本当に残念でなりません。そこで、この学部長メッセージで教員・職員を代表してお祝いの言葉をお贈りしたいと思います。

さて、人生の新たなスタートラインにつかれた皆さんの胸中には、在学中の数年間にわたる思い出が去来しておられるのではないかと思います。おそらく、嬉しかったことや楽しかったことばかりでなく、悲しかったことや苦しかったこともたくさんあったでしょう。それらを乗り越え、卒業・修了の時を迎えられ、新生活への希望を胸に新たな道を歩んでいけるのは、もちろん皆さんの努力があったからですが、周りの方々の温かい愛情とご支援もあったと思います。是非、そうした方々への感謝の気持ちを忘れないでいただきたいと思います。そして、これまでに学んだことを今後の人生に活かし、それぞれの道で、最善を尽くし、大いに活躍されることを期待しております。それがまた、皆さんを応援してきた方々の喜びや後輩たちの励みになることも忘れないでください。

現在、社会全体がウイルスにより停滞を余儀なくされていますが、まもなくそれらのダメージから回復へと歩みを転じる時が訪れるはずです。そして、その時こそ、皆さんの若い力と新鮮なアイデアを発揮できるチャンスです。災い転じて福となす.世界的なパンデミックに見舞われた年に新生活をスタートする卒業生・修了生の皆さん、逆境に負けず、勇気を持って未来を切り開いていきましょう。

皆さんの人生に幸多からんことを願っています。

 

令和2年3月24日 山口大学農学部長 小林淳

 

山口大学令和元年度卒業式・修了式特設サイトでは小林学部長からのメッセージ動画を見ることができます。ご覧ください。

 

山口大学令和元年度卒業式・修了式特設サイト

http://www.yamaguchi-u.ac.jp/_8383/_8390.html

YouTubeの直リンクはこちらです

https://www.youtube.com/watch?v=4aiH6hSbxcs&feature=youtu.be

 

 

なお、今年度の卒業式総代には農学部生物資源科学科の伊藤爽夏さんが選ばれていました。卒業式は中止になってしまいましたが、伊藤さんからのメッセージを以下に掲載いたします。

 

 

厳しい冬の寒さもいつの間にか和らぎ、吹く風に春の訪れを感じられるようになりました。

本来であれば、卒業式で日頃の感謝をお伝えする予定でしたが、諸般の事情により開催が中止となりました。卒業生代表としてここに文面でお伝えいたしますことをご了承ください。

本日の卒業の日を迎えるにあたり、岡学長をはじめ、教職員の皆様方並びに保護者の皆様方に卒業生一同心よりお礼申し上げます。

 振り返れば、私達が大学に入学したのは今から4年前あるいは6年前、入学当初は新生活に慣れずに戸惑うこともありましたが、諸先生方や職員の皆様のご指導、サポートのおかげで学問だけでなく様々なことを経験し、一人の人間としても成長できたと実感しております。

 創基から204年という、日本の国立大学の中でも3番目に長い歴史をもつ山口大学で多くの人々と関わりあって過ごした大学生活は、私達にとってかけがえのない時間で、瞬く間に過ぎ去っていきました。

私は、1年生の時に英会話部に入部し、素晴らしい先輩方や同期そして後輩に恵まれ、人との繋がりを育みながら次の代に繋いでいくことの大切さを学びました。2年生の時には、外務省が推進する北米地域との青少年交流の一環で、KAKEHASHI Project-The Bridge for Tomorrow-という国際交流プロジェクトに参加しました。出国前の事前研修時から、同じプロジェクトの仲間たちが次々にリーダーシップを発揮し、その主体的な姿に背中を押され、自分の実力不足に不安を抱きながらも10日間のプロジェクトに挑みました。日本とは全く異なる様々な文化や学生との出会いの中で、自分の中の常識が新しく塗り替わっていくことを実感しました。プロジェクトでは、日中のプログラムが瞬く間に進むとともに、夜遅くまで次の催し物やプレゼンの準備をするなど、とても忙しく厳しい環境下ではありましたが、チームがそれぞれの持ち味を全力で出し切ったからこそ、最後のプレゼン発表の日を迎えることができたとともに、皆で一つの物を作り上げる感動を味わうことができました。さらに積極的で行動力のある素敵なチームメイトたちと出会い、米国の学生との交流を通じて、米国だけでなく母国の魅力を再認識することができました。

この経験がきっかけで「もっと広い世界や価値観に触れてみたい」と思い、3年生の時には株式会社Intrax様が運営されている“Intrax Work Travel”に参加し、米国のグレイシャー国立公園にて世界中から集まった大学生と働きながら現地で生活しました。そこで出会ったバイタリティに溢れる魅力的な仲間に接し、未知の文化のなかで「自分」という存在と初めて向き合いました。1人で海外に行くことも初めてでしたが、一ヶ月半ほど現地で周りの仲間と最後まで一緒に仕事をやりきったという経験が私の自信になりました。

4年生になると分子植物病理学研究室に所属し、ゼミを通して専門知識を身につけるとともに、初めて研究に取り組みました。私はタマネギ灰色腐敗病菌の病原性に関する研究を行いました。参考論文がほとんどなかったため、実験は試行錯誤の連続で、最初は思うような結果が出ず、研究は一筋縄ではいかないことを思い知らされましたが、様々な実験を通じ、ご指導を賜った伊藤真一教授をはじめ、日頃から協力していただいた全ての方に支えていただきながら、この病原菌を選択的に単離する培養方法を世界で初めて確立することができました。研究を通して、山口大学の教育理念である「発見し、はぐくみ、形にする」ことこそが、真実に近づくことであると気付かされました。物事の本質に迫っているとき、そこには感動を伴う楽しさがあり、研究の醍醐味を味わうことができました。

4年間の大学生活で、部活動や米国での経験、そして研究を行う過程で沢山の人と関わり、数えきれないほど助けていただきました。人との繋がりという点で、とても貴重な経験をさせていただけました。また、ここまで大切に育ててくれ支えてくれた両親や、苦しい時も一緒にいてくれた友人たちには感謝してもしきれません。これまで皆さんから受け取ったものを今度は私も世の中に還していきたいと思います。

さて、本日を節目といたしまして、私達山口大学卒業生は、就職、進学など別々の道へ進みます。この4年の間に日本では、熊本地震が起こり、少子高齢化問題がさらに深刻化しました。また、九州北部、広島や岡山県などでは大規模な豪雨災害が発生しました。世界に目を向けると、地球温暖化などの環境問題や食糧問題、さらに今年に入ってからは新型コロナウイルスの流行など、解決すべき問題が山積しています。それでも、これまで大学で培ってきた経験が必ず私達の糧となり、目の前に立ちはだかるこれらの諸問題に対し、必ず乗り越えられると信じています。これから私達は進学や就職という形で、社会の一員としての責任はより重くなると思います。この責任を受け止めて、日本だけでなくグローバルな面からも、より一層社会に貢献できるよう、驕ることなく謙虚な姿勢で精進して参ります。

最後になりましたが、これまで私達を支えてくださった先生方、職員の皆様、大学生活を様々な面から支えてくれた両親、常に励まし切磋琢磨した友人に、感謝と御礼を申し上げます。そして、山口大学のこれからの更なる発展と、本日ご高覧いただきました皆様のご健勝を祈念いたしまして、卒業生代表の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

 

 

令和2年3月24日 卒業生代表 農学部 生物資源環境科学科 伊藤爽夏

ito.jpg 伊藤爽夏さん